惣菜弁当の殿堂(1)ハセガワストア「やきとり弁当」 函館名物!ハセストのやき弁

2012.09.03 402号 09面

焼成時に霧吹きでかける赤ワインが決め手

焼成時に霧吹きでかける赤ワインが決め手

 “ハセストのやき弁”とは、北海道函館市を拠点に14店舗を展開するCVS「ハセガワストア」の名物「やきとり弁当」の愛称。白飯、海苔、豚ばら串焼きという素朴な組み合わせが郷愁を誘い、1968年の発売以来、変わらぬ味で地元客から愛され続けている。一方、“豚ばら串焼き”を“やきとり”と呼ぶ道南の風習、CVS弁当という手軽さが、いまどきの観光ニーズにもベストマッチ。“安近短”の手本ともいうべき観光スポットに台頭している。また、Web上で話題となっている心憎い配慮も必見。臨場感を演出する「容器の縁に刻まれた串抜き用の溝」と、箸でちぎりやすい「アミダ状の海苔」は、即戦力の参考になるはずだ。

 ●商品発祥:酔客の要望がきっかけ

 発祥は1968年。夜の酔客が「お弁当ある?」と尋ねたのがきっかけ。するとレジをうっていた創業者、長谷川文夫氏は、店で作っていた「やきとり」(豚ばら串焼き)と「おにぎり」の材料(白飯と海苔)を組み合わせ、即興でやきとり弁当をこしらえた。これが人気を呼び名物に定着した。

 ●調理概要:はこだてわいんの霧吹きが決め手

 注文の6割強を占めるやきとり弁当(小)は、白飯(200g)、豚ばら串焼き3本(1本35~37g)、海苔(1枚)に紅ショウガ(パック)が付く。サイズは白飯の量と串焼きの本数により小・中・大・ジャンボの4種類。調味だれは、醤油だれ、塩だれ、うま辛だれ、塩の4種類。これらを組み合わせてカスタマイズできるのも人気要因。

 調理・提供はツーオーダー。注文を受けてから豚ばら串を焼き始め、提供まで4分。焼成時に霧吹きでかける赤ワインが、豚ばらの持ち味を引き出す、調理の決め手となっている。

 ●販売実績:やき弁が全体実績の生命線

 販売実績は全14店舗で年間80万食。中食部門(惣菜・弁当・調理パン)が全体売上げの約50%を占め、やきとり弁当はその約60%(全体売上げの約20%)を占める。やきとり弁当の調味だれの比率は、醤油だれ(70%)、塩(15%)、うま辛だれ(8%)、塩だれ(7%)。

 昨今の不況を受け中食以外の実績は厳しいが、全体実績はやきとり弁当の好調を反映して近年101~103%で推移。「まさに、やきとり弁当が生命線」(佐藤邦夫社長)と言い切るほどだ。

 ●ポイント:串を引き抜く容器の溝 海苔にアミダの切り込み

 ユニークなひと工夫が2点ある。

 まずは「容器の縁に刻まれた4本の溝」。ここに豚ばら串の柄を置き、蓋を閉めて串を挟み、串を引き抜く。すると豚ばらが串から外れて容器内に落ちる仕組みだ。串を引き抜く爽快感が抜群で、「これで完成!」という臨場感と鮮度感を味わうことができる。

 次に「アミダ状の海苔」。1枚の海苔に5本、アミダ状に切り込みを入れている。これは「海苔が破けなくて食べにくい」というお客の声に応えたもの。

 ●食材・資材の決め手

 使用食材 はこだてわいん「はこだてわいん(赤)」

 豚ばらと相性抜群

 「はこだてわいん(赤)」を愛用。豚ばら肉の持ち味を引き出す隠し味に欠かせない。この手の料理で一般的に使われる業務用料理ワインとは異なり、飲用の高品質ワインを使用している。「豚ばらとの相性が抜群。それに地元メーカーを応援したいですからね」(佐藤社長)と言う。

 規格=18L

 ●会社概要

 「ハセガワストア」 本部所在地=北海道函館市中道2-17-16/事業内容=函館市を拠点に14店舗を展開するCVS。根室市にFC系列「タイエー」3店展開。2004年にセイコーマートと業務・資本提携。

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