外食史に残したいロングセラー探訪(61)ピザーラ「エビマヨ」

2012.03.05 396号 08面
見た目、味、食感のバランスがとれたエビマヨは、子どもから大人まで幅広く楽しめる

見た目、味、食感のバランスがとれたエビマヨは、子どもから大人まで幅広く楽しめる

店舗数543店は国内シェア№1

店舗数543店は国内シェア№1

 今でこそ「エビマヨ」という言葉はさまざまな商品に使われているほどポピュラーなネーミングとなっているが、そのエビマヨをいち早く取り入れ、いやむしろ名付け親といっても過言ではないのが、デリバリーピザ店「ピザーラ」が提供するエビマヨだ。期間限定でありながら、10年連続販売というピザーラのなかでも異例のロングセラーとなっている同商品を紹介する。

 ●人気の秘密はおいしさ、楽しさ、分かりやすさのバランス

 (株)フォーシーズが運営するピザーラは、今年で25周年を迎え、543店(2011年12月現在)と業界内において国内シェアNo.1の宅配事業を展開している。外資系の多い業界内において国内企業が提供するピザは、日本人の味覚にこだわった商品も多い。テリヤキチキンやツナマヨなどは、その代表商品といえよう。また、グランドメニューの他に新商品、期間限定商品などにも力を入れ、なかでも夏から秋にかけての限定商品であるエビマヨは、2002年から10年連続で販売中だ。「毎年、季節ごとに限定メニューを出していますが、エビマヨのように味も名前も変えずに販売を続けている商品はなく、最長記録を更新している人気商品です」と話すのは、エビマヨの生みの親、同社・商品開発本部の大坪靖之副本部長。

 エビマヨはガーリックマヨネーズソースをベースとした生地に、メーンであるエビのフリッターをはじめ、フレッシュダイストマト、ショルダーベーコン、オニオン、コーンなどをトッピング。そして、焼き上がったピザにオリジナルのオーロラソースをトッピングする。

 開発のきっかけについて大坪副本部長は「テレビで中華料理の“エビのマヨネーズあえ”を見て直感的にエビマヨのピザが浮かびました。日本人になじみのあるエビと若者に人気のあるマヨネーズをうまくミックスさせれば幅広いお客さまに受け入れられる新商品が完成すると思いました」と語る。

 開発、完成まで約1年が費やされ、なかでもフリッターとオーロラソースには試行錯誤が繰り返された。

 通常のオーブン設定で焼成すると、トッピングしたエビのフリッターが焦げてしまうため、それを克服するのに労力を要したという。

 オーロラソースは、子どもや女性客にも喜ばれるよう、味がはっきりしてかつエビとの相性のよいオーロラソースを採用。5種類の野菜や果物が加わり、甘さや色合い、粘性なども考慮された。フリッター同様に1つ1つの問題がクリアされ、見た目、味、食感といったバランスの取れたピザが完成した。

 また、エビマヨの人気は、その覚えやすいネーミングとCMによる影響も大きいといえよう。BGMの「エッビ、マヨマヨ、エビマヨ」やエビ型の浮き輪などは、視聴者の印象に残り、商品や夏の定番をイメージさせる効果をもたらしている。

 商品の実力はさることながら、わかりやすいネーミングやCMの楽しい演出が、多くの人に愛されるロングセラー商品を育てている。

 ●企業データ

 (株)フォーシーズ/本社所在地=東京都港区南青山5-12-4 全菓連ビル/事業内容=デリバリー事業「ピザーラ」(543店舗)、「柿家鮨」(27店舗)。外食事業「ジュエル・ロブション」(8店舗)、「トゥザハーブズ」(29店舗)、「寅福」(11店舗)その他多数の運営(2011年12月現在)

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