私のお気に入り産地野菜:野菜づくりの現場から=うえのはらハーブガーデン
二十数年前に上野原に嫁ぎ、この地でたくましく育つ野菜に感激、自らも野菜作りに挑戦した長田恵美子さん。
当初はハーブ栽培から始めるが、丹精を込めて作られたハーブは、品質の良さから料理人の間で評判となり、じか取引を始める。
レストランとの付き合いが深まるとともに、料理人さんからいろいろと野菜についての要望が出てくるようになる。品種的、量的にも一人では対応できなくなり親しい農家の協力を得ていくうち、長田さんを取り巻く輪が広がりはじめた。
今や町の産物として知られるようになったズッキーニも、当初は「名前も知らず見たことも食べたこともない。まして作り方も知らない農家の人を説得するのはたいへんだった」と当時を振り返る長田さん。
「レストランも生き残りをかけての差別化でしょうか、畑を訪ねて来る人が多くなりましたね」
はっきりしない生産者より、安心できる長田さんが作っているのがよいとほかの人にもPRしてくれる。
「いっさい農薬を使っていないため葉っぱに虫食いがあっても、みなさん実際に来てみてこれが普通と納得しています」
新宿・高野フルーツにはハーブなどの野菜を出荷しているが、時々は消費者にじかに売るサービスもする。
「レストランでいつも食べているサラダは、この人が作っているのね、と感激され逆にこちらが励まされています」
今年は昨年得た実績で自信がつき、国産トレビスをデビューさせることに。また難しいとされているサンマルツァーノも夏には出荷される。
「生産者をまとめレストランに直売しているので、最初は流通業者と間違えられていた。あちこちでうちのような動きが出はじめてうれしい。欲しい人に確実に売れるチャンスを逸しているところが多い。もっと若い人が入って活性化できたらと思うのですが」
◆「うえのはらハーブガーデン」(山梨県北都留郡上野原町鶴島二三七四、0554・63・1438)栽培面積=二〇〇〇平方メートル/主な生産品目=ルッコラ、ズッキーニ、ブーケレタス、トレビス、フェンネル、レッドアジアンマスタード、マスタードグリーン、チャービル、オロロッサ、バジルなど数多い