大黒工業のエコロジー提案「パルプモールドパッケージ」テークアウトの繁盛事例
テークアウト市場の成熟にともない、料理を演出する包材(容器)も急速に進化している。エコロジー志向の「パルプモールドパッケージ」もその一つ。「使い捨て前提だからこそ環境に配慮した包材を」という販売モラルの向上に貢献するほか、温かみある感触は消費者からも好評だ。パルプモールドを活用し、いち早く環境対応に乗りだしているテークアウトメニューの繁盛事例を紹介する。
◆パルプモールドパッケージとは?
世界に豊富なアシ、ケナフ、サトウキビなど、非木材紙を原料とする自然素材容器。製造工程から環境配慮に徹している。電子レンジ対応で身体に安全。土に戻る素材だから焼却・廃棄も安心。温かみある感触、メニューを優しく包むシンプル設計で、健康・手作り志向を演出する容器として好評だ。
▽パルプモールドについての問い合わせ先=大黒工業(株)(東京都台東区、電話03・3845・5677)
●ふく鮨本舗の三太郎
「ふく鮨本舗の三太郎」は、福岡を拠点に三八店舗を展開する宅配ずしチェーン店。妥協のない新鮮なネタと天然食材へのこだわりで、地元ご用達の絶大な人気を誇る。
そのふく鮨本舗の三太郎が今年、空港弁当“空弁”の販売に乗りだした。天然食材を掲げるだけに、包材も当然のことながらパルプモールドだ。
「パルプモールドの採用は自然の成り行きです」と摩須貞康マネジャー。「天然食材にこだわるならば、それを包む容器も天然素材にこだわるのが普通」と言う。
「ふぐの丸ごと一本鮨」(一五〇〇円)、「玄海博多巻」(六〇〇円)、「ふぐのから揚げと鯖押し」(同)などを矢継ぎ早に打ち出すと、地場素材の訴求が大好評で販売数はうなぎ上り。メディアでも数多く取り上げられ、異例の早さで空港名物に定着した。いまや各地の百貨店催事からも引っ張りだこだ。
「社会的企業ほどエコロジー意識が高い。パルプモールドは、われわれが思った以上に評価されますね」と摩須マネジャー。
空弁を皮切りに、このほど「にぎり寿司」(一三〇〇円)で駅弁にも参入。今後“船弁”や“バス弁”など新たな市場開拓を狙っている。
◆「ふく鮨本舗の三太郎」本部=(株)ドゥイットナウ(福岡市城南区神松寺二‐一六‐二一、電話092・874・9861)
●クレイジータコス
東京は千代田区、「ネオ屋台村」で大人気のタコライス店「クレイジータコス」は、一年前の出店以来、パルプモールド容器を活用。タコライスの魅力に一層磨きをかけている。
「環境対応はもちろん、天然素材なので手の感触(ぬくもり)がよい」と沖縄県出身の長峰誠さん。「保温効果も高く一〇人中一〇人が喜ぶ容器ですね」と微笑む。
長峰さんが使うパルプモールドは、サトウキビの廃棄物を原料としている。
「自身、沖縄でサトウキビの大量廃棄物を見てきているので、このように活用されているとうれしいですね。価格もほかの容器とあまり変わらないし」と言う。
自慢の「タコライス」(六〇〇円)は、八種類のスパイスを駆使したオリジナル・タコミート、レタス、チェダーチーズ、サルサソース、ドレッシングを白飯にトッピングしたもの。長峰さんが五〇もの有名なタコライス店を食べ歩いた末に、東京人向けに開発した。
「タコライスが思ったより東京ではやらないのは、見よう見まねで作っているケースが多いから。とはいえ沖縄の味も受け入れられないと思います」「調味のポイントは酸味と甘み。それ以外は秘密」と言う。卵、アボカドなどの日替わりトッピングも、移り気な東京人向けの一工夫だとか。
「タコミートのブレンドと出来たて提供が明暗を分ける」と言う長峰さん。現在の繁盛を足場に店舗開業を目指しているが「店舗開業しても屋台は止められない。常連客主体の屋台営業はそれほど面白い」と言う。
長峰さんが元気に屋台営業する限り、各地でタコライスのおいしさが再認識されそうだ。
◆「クレイジータコス」営業場所=東京都千代田区、東京国際フォーラム、東京サンケイビルなどの敷地内で日替わり移動販売