兼松・日本リカー、第3国ワインを拡充 ブルガリア産「S・トリフォン」発売

酒類 1996.08.19 8083号 1面

兼松(株)(東京都港区、03・5440・8016)と日本リカー(株)は、ブルガリアワイン「セイント・トリフォン」三アイテムを、8月下旬から順次全国で発売する。ブルガリアワインはイギリスをはじめスカンジナビア諸国、ベネルクス三国などではポピュラーだが、日本へは今年1~6月で一四キロリットル余りが輸入されているに過ぎず、大手商社・輸入業者による本格的取扱いは、今回が初のケース。希望小売価格を七〇〇~七五〇円に設定することで値頃感をアピール。兼松と日本リカーはチリ、南アフリカ、ニュージーランドに続く“第三国ワイン”の品揃えを強化、市場活性化をさらに推し進めていく意向だ。

ブルガリアワインは品質の高さで定評があり、特にフルボディータイプの赤ワインには優れたものが多いことで知られている。兼松、日本リカーが今回輸入するのはヴィニンペックス社が輸出元の「セイント・トリフォン・カベルネ・ソーヴィニヨン・レゼルヴ九三」「同メルロー・デビュー九五」「同シャルドネ九五」。容量七五〇ミリリットルで希望小売価格は「カベルネ・ソーヴィニヨン・レゼルヴ」が七五〇円、「メルロー・デビュー九五」「シャルドネ九五」は七〇〇円。

「カベルネ・ソーヴィニヨン・レゼルヴ九三」は一八ヵ月間樽熟成を経たフルボディータイプ。評価の高いブルガリアの赤ワインの中でも特に高品質の赤を産出することで知られる東部のヤンボル地区で醸造。「メルロー・デビュー九五」はヤンボルの西に位置、やはり赤ワインの産地として知られるスリヴェン地区で醸造。マセラション・カルボニック法を用い、ライトでマイルドなタイプに仕上げてある。「シャルドネ九五」はブルガリア北東部、同国最高の白ワインを産するプレスラブ地区で醸造、引き締まった辛口タイプ。販売数量は一年間で、一万五〇〇〇ケースを目標とする。

ヴィニンペックス社は、一九六九年設立の旧国営酒類輸出入公団を前身とする国営企業。九二年、市場経済導入に伴い、酒類輸出の独占制は廃止されたが、九五年時点でも、ブルガリアワイン市場で二割のシェアを持つ最大手。輸出市場では四六%のシェアを占め、総売上高は四〇〇〇万米ドル。輸出先トップはイギリスで、九五年は一五〇万ケース(一二本換算)を輸出。次いで、スカンジナビア諸国、ベルギー、オランダ、ポーランドなどが主要輸出先。

今年に入り、チリワイン、南アフリカワインなど“第三国ワイン”が、その値頃感の高さから脚光を浴びている。1~6月のチリからのワイン輸入数量は前年同期比四四四・二%増の七二二キロリットル、南アは一八七・一%増の三四九キロリットル。ブルガリアワインは現在、数社が扱っているにとどまっている。国分が「ソフィア」を輸入していたこともあるが、現在は中止。兼松では「量販市場を中心に全チャネルで、値頃感の高いブルガリアワインの価値を広めていきたい」(食品部酒類食品課)と“第三国ワイン”の有力商材としてのブルガリアワインに期待をかける。

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