味の素社、「CookDo」復権へTVCMで品質訴求

新CMでは、父親役の阿部寛が実際に中華鍋を振って調理した

新CMでは、父親役の阿部寛が実際に中華鍋を振って調理した

 味の素社は2月から「CookDo」の新たなTVCMを投下し、ブランド力を復権する。市場売上げナンバーワンの「回鍋肉用」などを改良。本格的な味わいを強め、同時に減塩した。開発競争が激化した市場で圧倒的な品質、抜群のおいしさを伝える。通年で過去最大級のCM放映量、デジタル広告を計画し、高品質を裏付ける情報を届ける。

 新CMは個性派俳優の阿部寛を起用して、中華鍋での調理シーンが大半を占める。阿部が「俺のCookDo」と呼び掛けて料理開始。「回鍋肉用」では「香り立つ熟成豆板醤」、「麻婆茄子用」は「甜麺醤と辣醤。極上ソースを吸ったナスがたまらん」と紹介する。

 売上げは市場と同じく今3月期は微減したものの、一昨年比では増大。約30%のトップシェアは盤石だが、内食増で市場が拡大して、「回鍋肉」「青椒肉絲」はPBなど参入が相次ぐ。自負する高付加価値の埋没を危ぶみ、CMを4年ぶりに刷新。従来の簡単・おいしい、共食・栄養中心の価値提案から、原料・製法のこだわり訴求にブランディングを転じた。

 「CookDo」は発売44年を迎えて調達・製造ノウハウを蓄積。熟成豆板醤は発酵を繰り返してコクとうまみ、香りを強めた。ニンニク、ショウガは最も香り立つ、みじん切りの直後から炒めて使う。プロの調理工程を解析して最適なカットサイズ、刃入れ角度を高温加熱の鍋振りを再現。「CookDo」と炒め合わせるだけで本格調味と香りだし、トロミ付けが一気にできる。

 商品リニューアルはCM商材のほか「麻婆茄子」「酢豚用」で行った。中華鍋で炒めたような香ばしさを加える、高温調理香素材を用いるなどして風味を増した。ほかにも異味マスキング、コク味付与などで独自素材を使って味わいを強め、7~15%減塩も実現した。

 気付かず減塩、自然に健康と流通業に支持されて売場展開も加速。CM放映後から拡販に成功している。今後のデジタル広告、通期でのCMの大量投下も企画し、トップメーカーこだわりの品質主義を伝える。増えた家庭内食で指名買いを得る。(吉岡勇樹)

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