英国で「グルメ塩」ブーム コロナ禍で家庭内料理の味にこだわる人が増え

今、英国では「グルメ塩」と呼ばれる塩の売上げが急増している。健康を意識した減塩が推奨される一方で、グルメ塩の製品を多数店頭で見つけることができる。今回は、グルメ塩が売れる理由と人気商品を紹介する。

グルメ塩が健康の味方に

7月に大手スーパーマーケットチェーンの「テスコ」は、グルメ塩と呼ばれる製品群の販売状況を公表。この時点で、グルメ塩が塩売上総額の40パーセントを占めた。前年比200~2600%の上昇を記録したブランドもあったという。

英国のスーパーの塩販売コーナー(筆者撮影)

なぜいま塩ブームなのか。理由の一つは、グルメ塩は一般的な食塩よりもナトリウム含有量(sodium)が少なく、無添加であること。そしてナトリウム含有量が少ない一方で、60種類以上のミネラルを含むため、塩分量を約30%も減らすことができるのだ。肥満や高血圧患者が増え、ますますヘルシー志向の高まる英国で、こうした点が多くの消費者を引き付けている。

参照サイト:
Demand for gourmet salt soars as more Brits make switch from table salt – Tesco PLC

著名シェフにも人気

また未精製塩であるため、味に深みがあるところも、味にこだわるようになった英国人には魅力的。食材の本来の味や歯ごたえ、色や匂いにポジティブに働くことから、家庭だけではなく、多くのレストランや有名なシェフ達にも人気がある。

マルドン・シーソルト(筆者撮影)

有名シェフ達による料理番組も売上げに貢献したかもしれない。例えば、世界的に有名なジェイミー・オリバーやリック・スタインなどに影響された英国人も多いのではないだろうか。またコロナ渦の外出自粛期間には、スクラッチ・クッキング(ゼロから手作りする)がブームとなり、料理を楽しむ英国人も増えている中で、グルメ塩の需要も伸びた。

グルメ塩の使い方は

売れ筋商品は、「スモークド・ソルト」「シーソルト・クリスタル」「ヒマラヤン・ピンクソルト」「ロックソルト」など。この他に注目すべきユニークな商品は、M&Sの「チポトレ・チリ・アングレーズ・シーソルト」と「トラフル・ソルト」である。

チポトレ・チリ・アングレーズ・シーソルト(筆者撮影)

グルメ塩は、料理の用途や食材に応じて使い分けすることができる。例えば、マイルドな風味の「ヒマラヤン・ピンクソルト」は、サラダや貝類によく合う。また「シーソルト・クリスタル」は、塩味を長く保ち、食材に歯応えを与える。食卓塩の原形として知られる「ロックソルト」は、食卓塩よりも加工過程が短いため、本来、備わっているミネラルが多く残っており、煮込み料理に好適とのことだ。

「料理がまずい」といわれ続けた英国。だが今や、一つの家庭内に複数の塩が存在し、味にこだわる時代となったようだ。(フードライター ラッド順子)