コロナ禍の英国で「パブデスク」が人気 テレワークのストレスも解消

新型コロナまん延で経営困難に陥るパブが相次ぐ英国で、「パブデスク」がトレンドとなっている。パブデスクとは、パブのテーブルで仕事をする新しいワーキングスタイルだ。テレワークなどで自宅滞在時間の多い毎日に飽き飽きしている英国人のサンクチュアリとして人気を呼んでいるのだ。そこで今回は、仕事の効率を上げ、ストレスの解消にも良いと絶賛されているパブデスクについて紹介する。

自宅では仕事と私生活の切り替えがうまくいかず

新型コロナまん延により世界的にワーキングスタイルも変化している。昨年のロックダウン前、大部分の英国人はテレワークが理想のワーキングスタイルであると考えていたが随分昔のことのようだ。コロナ渦で約60%の英国人がテレワークをしている現在、彼らの意見にも変化が見られる。

ロックダウン後に実施したQualitricsの調査によると、半分以上の回答者がテレワークにストレスや不安を感じているそうだ。通常であれば、勤務後に友人と酒を飲むことでストレスを解消したり、不安を打ち明けることができていたが、今は自由にそれができない。

英国パブの店内(筆者撮影)

他の理由としては、自宅にワーキングスペースがない、インターネットのアクセスが悪い、一人で静かな環境で仕事をするのは苦手、仕事机がない、騒音がひどいなどの問題がある。会社勤めに慣れた社会人の中には、仕事と私生活の切り替えがうまくいかず、ストレスを感じる場合も多いようだ。

参照サイト:
Coronavirus: Why are we finding working from home stressful?

経営難のパブが考案した画期的アイデア

自宅滞在やテレワークを起因とする心の問題や家庭内暴力が浮き彫りになっている最中、これを救うかのように登場したのが「パブデスク」だ。ロックダウンによる閉鎖命令で、経営困難に陥りそうなパブが考案した画期的アイデアである。パブ閉鎖期間の赤字を取り戻すだけではなく、ストレスに悩む英国人を救うサンクチュアリのようなものだ。

コロナ渦で閉鎖中のパブ(筆者撮影)

パブデスクのシステムは、パブで一定料金を支払うことでテーブルを独り占めして仕事や勉強ができる。料金にはインターネット代や電源用ソケット使用料が含まれている。これに、紅茶・コーヒー飲み放題やランチが含まれることが多い。

料金は10ポンド(約1350円)から20ポンド(約2700円)が平均。例えば、ケント州にある「レッドライオン」は10ポンドで提供している。パブデスクを3時間利用でき、コーヒー・紅茶の飲み放題も楽しむことができる。

パブのカウンター(筆者撮影)

20ポンドで提供しているロンドン北部の「キングズヘッド」の場合は、午前10時から午後5時までパブデスクを自由に利用できる。さらに、コーヒー・紅茶の飲み放題、サンドイッチメニューから選べるランチ、仕事終了後のビールまたはワイン一杯が含まれている。

参照サイト:
Coronavirus: Sick of home working? Go to the pub | News | The Times

パブデスクを利用するためには、パブのホームページで予約しなければならない。利用者からは、「2~3時間のパブデスク利用で不安が解消できる」「ミーティングに安心して参加できる」「仕事と自宅との切り替えができる」などのポジティブなフィードバックが多い。店内は、安全を確保できる間隔でテーブルが並んでおり、感染や他人の声を気にせずに、落ちついて仕事ができるようだ。(フードライター ラッド順子)