スーパーの魚介類にもウェルネスを…動物保護意識の高まるオランダで新たな動き

筆者が住むオランダで先日「スーパーの魚介類にもウェルネスを!」という衝撃的なタイトルの記事を発見した。この中で「ウェルネス」とは、魚介類が生誕から出荷されるまでの間、心身ともに健康な状態であり「輝くように生き生きとしている」状態を指している。

動物保護団体からの警告

現在オランダのスーパーで販売されている魚介類のウェルネスについては、スーパーに委ねられているため、消費者に分かりにくい。オランダの動物保護団体は、販売されている魚介類の生産現場などの情報を消費者に明確に提示し、消費者自身が購入する魚介類のウェルネスやクオリティーに責任を持つ義務を与えるべきである、と警告している。

業務用スーパーの魚売場

近年のオンライン注文による購入の場合にもしかりで、天然物か養殖物か、水揚げの場所と捕獲の方法は少なくともキチンと記載する義務がある。消費者が不法な捕獲方法や必要以上に捕獲されていないかを知り管理することで、魚介類の環境や種の継続の保護に目を向けて、正当な方法で捕獲されることを推進し、過剰捕獲を監視することが望ましい。また、養殖魚の場合は、生産地と魚の種類は正確に記載されるべきである。

オランダでの調査によれば、あるスーパーのオンラインでは40%しか正確な情報がないという。オランダにもMSCとASCという食用魚の国際認証は適用されている。しかし、MSC表示がされていても、生育時の魚のウェルネスについては保障されていない。もっと消費者に分かりやすい表示をして、消費者の関心を向けて、魚介類のウェルネスへの関心を高めるように業者は仕向けるべきだと動物保護団体は主張している。

MSCやASC認証はいまだ消費者に浸透せず

では実際に、消費者はスーパーの魚介類についているマークの意味を知っているのか、聞いてみた。近所のスーパーの魚売場で、魚を購入しているお客さん5人に、表示の違いや意味を聞いてみたのだが、「MSCの魚の方が良い」という認識があるぐらいで、ASCとMSCの言葉の意味や違いを解ける人はいなかった。まして「ウェルネス」は誰も知らない。

MSCとASC認証のついた魚介類

そういわれれば筆者も「スーパーで魚を買う場合はMSCマークを選ぶ」以外の認識はなかったのだ。日本語の場合、養殖魚なら漢字を見れば理解できるが、西洋言語の場合には頭文字がいくつかならんでいるだけで、単語の意味をキチンと理解してない場合が多い。これは筆者が外国人だからではなく、現地の人達も似たような感覚なのだ。

「魚介類も動物であり命が尊重されるべき」

オランダは「動物のための政党」が国会で議席を確保するほど食肉に対する認識が高い。食用魚介類への認識が低い理由の背景には、オランダの食卓に魚介類が登場する機会が非常に少ないことも、忘れてはならない。

オランダ人が魚介類として挙げるのは「ハーリング」と呼ばれる塩漬けニシンかタラのフリッター、ムール貝のワイン蒸しくらいだ。サケやヒラメ、エビなどは近年でこそ人気があるがまだまだ高級品のイメージで、魚介類が食卓に上がる割合が低いことは外せないだろう。

認証マークは魚介類の冷凍食品にも記載が義務づけられている

今なぜ、動物保護団体が声を挙げたのか。背景にあるのは「魚介類も動物であり、命があるからにはその命が尊重されるべきである」という団体の考えがある。今後、魚の需要が増すにつれて魚介類や水産資源保護の認識も深まることを期待したい。(オランダ在住フードコンサルタント 白神三津恵)