「乾杯はプロセッコで」が世界トレンドに シェアでシャンパンを超えた理由は

結婚式やクリスマス、年末年始などお祝いの乾杯で人気なスパークリングワイン。一昔前まではフランス製のシャンパンが上質なスパークリングワインの代名詞だったが、最近ではシャンパンよりも世界中でシェアを伸ばしているのがイタリア製スパークリングワイン「プロセッコ」である。今回は、プロセッコとシャンパンの違い、人気の理由について解説する。

イタリア産のスパークリングワイン「プロセッコ」

近年、日本のお祝いの席でも、スパークリングワインで乾杯というスタイルがすっかり定着した。ただ、スパークリングワイン=シャンパンであると思っている方もまだまだ多いのではないだろうか。

シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で作られ、ある一定の規定を満たしたものだけ名乗ることができる上質な発泡性ワインの名称である。シャンパンを含む発泡性のワインは「スパークリングワイン」というのが正式な固有名であり、世界中に多くの種類のスパークリングワインが存在する。

少し前になるが、2013年にイタリア中を駆け巡ったニュースがある。イタリア製のスパークリングワインであるプロセッコがついにシャンパンの世界的な販売量を超えたというものである。

ズラリと並ぶプロセッコ

90年代から順調に輸出量を増やしてきたプロセッコが、正式に“天下”のシャンパンを抜いたことは、名実ともに世界的な評価を獲得したことを意味する。これは、常にフランスを敵対視する傾向のあるイタリア人にとって、特記に値する喜ばしい出来事であるというのは皮肉でもある。

シャンパンよりお手ごろ価格の理由は

プロセッコはシャンパンとはどう違うのか? プロセッコはシャンパンより価格がかなり手ごろであり、生産量が圧倒的に多い。同じスパークリングワインといえども、これは製法の違いに由来する。

飲みきりサイズのミニボトルも人気

スパークリングワインの泡は、アルコール発酵時に発生する二酸化炭素をワインの中に閉じ込めることによって発生するが、その製法はさまざまである。

シャンパンは瓶内2次発酵という伝統的な方式によって作られる。ボトルの中で時間をかけて酵母とワインを発酵させるため、酵母の香りの残る独特な香りが特徴的だ。一方、プロセッコは、瓶ではなく大きなタンクで短期間で熟成させるため、発酵香はなくブドウの香りがフレッシュでフルーティである。

また、プロセッコはアルコール度数もシャンパンよりも低く、味わいも辛口なシャンパンに比べて比較的甘口であるために飲みやすく、一般受けする傾向にある。

普及のきっかけはEUの原産地名称保護制度への登録

プロセッコは、北イタリアのヴェネツィア北部を中心としたエリアで作られる。その起源は古代ローマ時代ともいわれるプロセッコ種(グレラ種)という土着のブドウ品種を中心に使われたことによる。

第2次世界大戦後から人気の出始めたプロセッコは、南米、クロアチア、オーストリアと次々に出現する「偽物」に悩まされ、近年の人気に伴い、欧州中にも「偽物」があふれるようになった。

一方で、本物のプロセッコの品質を維持するため、2009年にEU(欧州連合)の原産地名称保護制度に登録したことが、プロセッコの普及とイメージアップにもつながった。

ラベルには、名称の下にEUの原産地名称保護制度に基づいたDOC、またはDOCGを記載

プロセッコの輸出額は増加の一途をたどっており、2019年も前年より約15%増の10億6200万ユーロ(約1350億円)を売り上げた。英国、米国、ドイツの輸出先上位3ヵ国で全体の約6割を占め、続くフランスも毎年、順調に売り上げを伸ばしている。

参照サイト・文献:
Esportazioni di spumante Italia – aggiornamento 2019 I NUMERI DEL VINO
IL SOLE 24(7 maggio 2019)Il Prosecco oltre il boom: diversificazione e qualità

新型コロナウイルスの影響でイタリアのワイン業界は苦境に立たされているが、日本、中国などのアジア市場でのさらなる売上げ増加が期待され、今後が楽しみである。(フードライター 鈴木奈保子)