漢方スローライフ 季節と一緒にいい加減(144)春分 春霞は菜の花の頃

2022.03.01 320号 08面
菜の花

菜の花

菜の花と鶏ささみのゆずみそあえ

菜の花と鶏ささみのゆずみそあえ

 ●24節気 春分(3月20日~4月3日)

 ようやく寒さを脱して温かい日が多くなる頃。春分の日、昼夜はほぼ同じ長さになります。

 「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、まだまだ前の季節のなごりを引きずりながらも、この頃を境に季節は確実に進んでいきます。

 春霞という美しい景観も。春分、お彼岸の頃は暖かくなると、まず地表に近い草花が動き始め、元気に伸びた葉は蒸散といって空気中に水分を活発に蒸発させます。一つひとつは小さくても、芽吹きは一斉に。空気中の水分量への影響は少なくありません。その水分が空気中のチリやホコリと一緒になって光を乱反射させている。これが春霞です。

 「霞ふかし」といえば菜の花畑。菜の花とは一つの花の名前ではなく、アブラナ科の草花の総称で、現代の観賞用菜の花は外来種のセイヨウアブラナがほとんどです。食用としての「菜の花」は和種が多く、千葉・南房総の切り花や養蜂用に栽培してきた和種アブラナの苦味を抑えて食用に改良したものや、京都・伏見特産で主に花蕾を食べる「寒咲花菜」という素敵な名前の菜の花が有名です。

 そのほろ苦さと甘さは、この季節、食べ逃したくない味です。

 ●気象歳時記

 五運六気では、2022年(壬寅年)のいまの時期は、主少陰が客太陰を生む関係となるため、湿熱が旺盛な気候になりそうです。

 ●菜の花

 【栄養学】ビタミン・ミネラルがたっぷりの、緑黄色野菜の優等生。苦み成分がイソチオシアネートに変化し、抗がん作用も期待できます。

 【薬膳学】血にある熱を取り除き、血流を改善します。解毒の働きもあります。

 東京栄養士薬膳研究会 管理栄養士・国際薬膳師 岡本正子(レシピも)

 ◆菜の花と鶏ささみのゆみそあえ

 香り・苦みでリフレッシュとデトックス

 エネルギー99kcal たんぱく質11.3g 塩分0.5g(1人分)

 <材料・2人分>

 ・菜の花……1/2袋(120g)

 ・鶏ささみ……1本(70g)

 ・クコの実……大さじ2

 ・ゆずの果汁……大さじ1

 ・ゆずの皮(せん切り)……少々

 ・みそ……大さじ1

 ・砂糖……小さじ2

 <作り方>

 (1)菜の花はさっとゆでて3cmに切る。クコの実はお湯につけて戻す。鶏ささみは電子レンジ(600W)で2分半蒸して、手でさく。

 (2)ボウルにみそ、砂糖、ゆずの果汁を入れて混ぜ、菜の花、クコの実、(1)のささみを加えてあえる。

 (3)器に盛って、ゆずの皮のせん切りをちらす。

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