72候を楽しむ漢方スローライフ(113)天地始めて粛し

2019.08.01 289号 08面
ズッキーニと梅干しの牛乳粥 ~すいかジュース添え~

ズッキーニと梅干しの牛乳粥 ~すいかジュース添え~

 虫の音響く秋の入り口(処暑次候 8月28~9月1日頃)

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 真夏の暑さが峠を越える頃。朝夕の風は涼しく、夕暮れには虫の音が響き、少しずつ秋の気配が漂い始めます。これからは梨やぶどう、柿など、たくさんの果物が旬を迎える季節。甘くみずみずしい果実をほおばって、夏の乾きを身体の中から潤しましょう。

 ●油断大敵! 夏の風邪

 風邪は冬にひきやすいと思われがちですが、風邪のウイルスの中には高温多湿の環境を好むものも。これが、いわゆる“夏風邪”の主な要因です。症状も冬とは異なり、発熱やのどの痛みに加え、下痢、腹痛などの胃腸症状が多く見られます。

 夏風邪をひきやすいのは、やはり免疫力が落ちている時。漢方では、免疫力は体内の「気(エネルギー)」が源になっていると考えます。ところが、夏はたくさん汗をかいて、身体の潤いと一緒に気を消耗しがちに。また、冷たいものや水分の取り過ぎで胃腸の働きが弱くなると、栄養不足で気を十分に養えなくなります。こうした状態が免疫力の低下につながり、風邪をひきやすくなってしまうのです。

 ●冬とは違う対策を

 夏は食欲が落ちやすい季節。気を充実させて免疫力を高めるためにも、元気な胃腸でバランス良く栄養を取ることを心がけて。冷房を上手に使って汗のかき過ぎや睡眠不足を防ぎ、体力を保つこともポイントです。

 夏風邪をひいてしまった時は、身体の余分な熱を冷ますことが対処の基本。体内の潤いが不足すると熱を冷ましにくくなるので、汗で消耗しがちな潤いを養いながら、身体にこもった熱を冷ましましょう。

 食材は、身体の熱を冷ますズッキーニ、セロリ、すいか、潤いを生む牛乳、くず(葛)、すいか、梅、レモンなどがおすすめです。

 ◆ハレの日薬膳レシピ:ズッキーニと梅干しの牛乳粥~すいかジュース添え~

 身体の熱を除くズッキーニ、潤いを生む梅干し&牛乳を使って

 エネルギー271kcal/たんぱく質7.6g/塩1.6g(1人分)

 <材料・2人分>

 ・ズッキーニ……50g

 ・セロリ……20g

 ・昆布だし……1/2カップ

 A・ごはん……150g

 A・牛乳……1カップ

 B・昆布だし……1カップ

 B・しょうゆ……小さじ1/3

 ・くず粉……大さじ1

 ・梅干し……10g

 ・すいか……400g

 ・レモン……1/4個

 <作り方>

 (1)ズッキーニとセロリはサイコロ状に切り、昆布だしでやわらかく煮る。

 (2)(1)にAを加えて、温まったら火を止めてお粥にする。

 (3)Bを煮立て、同量の水で溶いたくず粉を加え、温めてあんをつくる。

 (4)器に(2)のお粥を盛り、(3)のあんをかけ、種を除き細かくたたいた梅干しを上にのせる。

 (5)種と皮を除いたすいかをミキサーにかけ、ジュースにする。

 (6)(5)をグラスに注ぎ、縦にくし型に切ったレモンを一切れ添える。

 レシピ=大須賀道子(東京栄養士薬膳研究会)

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 24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。

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