72候を楽しむ漢方スローライフ(116)朔風葉を払う
ラップで蒸し上げる鶏肉の野菜巻き香りソースがけ
ふかふか落ち葉を踏みしめて(小雪次候 11月27~12月1日頃)
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北風が吹き、木々の葉を散らす頃。積もる落ち葉はふかふかと心地よく、地面いっぱいに広がる赤や黄の彩りが目を楽しませてくれます。一方、木々は寒々として、訪れる冬の厳しさを告げているよう。そろそろ雪もちらつく季節。本格的な寒さに備え、体調管理にも気を配りましょう。
●「冬うつ」に要注意
秋が深まるにつれ、憂うつになったり気分が落ち込んだり…。こうした症状は、“冬うつ”と呼ばれる心の不調かも。冬うつは日照時間が短い秋から冬に起こりやすく、いくら寝ても眠い、食欲旺盛といった症状が特徴。一般的なうつの症状(不眠や食欲不振など)とは異なるため、気づかないことも多い症状です。
漢方では、冬うつは体内の「陽気」不足が主な要因と考えます。陽気は身体の活動を促す熱エネルギーで、心身を元気に保つ大切な要素。冬は寒さで陽気を消耗しやすく、エネルギー不足でうつを招いてしまうのです。
●身体の「陽気」を充実させる
冬うつ対策の基本は、不足しがちな陽気を十分養うこと。そのためには、陽気の源を蓄える「腎」を整え、元気な「胃腸」でバランスよく栄養を取ることが大切です。
日常生活では、太陽の光をたくさん浴びることを意識して。陽気が充実し、気持ちもすっきり明るくなります。また、疲労やストレスをこまめに解消することも大切。
睡眠を十分に取り、ハーブティーやアロマなど、香りを上手に使って気持ちをリラックスさせましょう。
食材は、腎を整え陽気を養うにら、くるみ、パプリカ、しいたけ、鶏肉、ストレスを発散させるシナモン、たまねぎ、らっきょうなどがおすすめです。
◆ハレの日薬膳レシピ:ラップで蒸し上げる鶏肉の野菜巻き 香りソースがけ
太陽をたっぷりと浴び、にら、くるみ、しいたけで陽気を養う
エネルギー233kcal/たんぱく質26.3g/塩1.55g(1人分)
<材料・2人分>
・鶏むね肉(皮なし)……220g(大1枚)
・塩・シナモン……少々
・にら……15g
・しいたけ……2枚
・パプリカ(赤)……30g
〔ソース〕
・たまねぎ……18g
・甘酢らっきょう……12g
・くるみ……5g
・しょうゆ……大さじ1
・ごま油……大さじ1/2
<作り方>
(1)鶏むね肉の厚いところは切り込みを入れて開き、全体に軽く塩・シナモンをふる。
(2)にらは2cmくらいの長さに切り、茎の太いところは半分にする。しいたけとパプリカはスライスする。
(3)開いた鶏肉の上にしいたけ、にら、パプリカをのせてラップで巻き、15分間蒸す。
(4)(3)が蒸しあがったら、2cm厚さに切り分けて器に盛る。
(5)たまねぎ、らっきょう、くるみをみじん切りにし、しょうゆとごま油で混ぜてソースをつくり、(4)に添える。
レシピ=佐藤比呂子(東京栄養士薬膳研究会)
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24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。