72候を楽しむ漢方スローライフ(117)麋角解つる

2019.12.01 293号 08面
ふわふわ山芋グラタン

ふわふわ山芋グラタン

 迎える新年を清々しく(冬至次候 12月26~30日頃)

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 春の生え変わりに向けて大鹿(ヘラジカ)の角が落ちる頃。年の瀬を迎え、忘年会に買い出しにと慌ただしい日々が続きます。とはいえ、新しい年は清々しく過ごしたいもの。年末は大掃除で家を清め、正月の準備を丁寧に整えて、さて、気持ちよく新年を迎えましょう。

 ●「冷え」は体調不良の要因

 冬至を過ぎ、冬の寒さはこれからが本番。冷え症に悩む人にとっては、つらい季節の到来です。冷えは病気ではありませんが、不眠や肩こり、便秘、免疫力の低下といったさまざまな不調の要因に。風邪をひかず元気に冬を乗り切るためにも、積極的に冷え体質を改善しましょう。

 漢方では、冷えは身体を温めるエネルギー「陽気」の不足が主な原因と考えます。陽気は五臓の「腎」が源となっているため、腎の機能が低下すると陽気も不足しがちに。

 また、「胃腸」の働きが弱くなると、栄養不足で陽気を十分生み出せなくなります。こうした状態が続くと、身体をしっかり温めることができず、冷えを招いてしまうのです。

 ●「腎」と「胃腸」を健やかに

 冷え体質を改善する基本は、腎と胃腸の働きを守り、陽気を充実させること。腎は冷えに弱いので、特に腰回りをしっかり温めて、冬の寒さから腎を守りましょう。暴飲暴食、冷たい飲食などに気をつけて、胃腸を健やかに保つことも大切です。

 日常生活では、トレーニングを習慣にして筋力アップを。身体の熱の多くは筋肉が生み出しているので、冷えの予防につながります。

 食材は、身体を温める鮭、エビ、ニラ、しょうが、唐辛子、胃腸を整えて気を養う山芋、卵、チーズなどがおすすめです。

 ◆ハレの日薬膳レシピ:ふわふわ山芋グラタン

 身体を温める鮭・エビ・ニラと、脾胃の働きを助ける山芋で冷えを改善

 エネルギー250kcal/たんぱく質25.5g/塩1.1g(1人分)

 <材料・2人分>

 A・山芋……200g

 A・卵……1個

 A・塩……小さじ1/2

 A・こしょう……少々

 ・ピザ用チ-ズ……30g

 ・ニラ……50g

 ・むきエビ……80g

 ・甘塩鮭……80g

 ・おろししょうが……小さじ1

 ・酒……小さじ1

 ・オリーブオイル……適量

 ・糸唐辛子……お好みで

 <作り方>

 (1)オ-ブンは200℃に予熱する。

 (2)甘塩鮭は焼いて皮をはずし、食べやすい大きさにほぐす。

 (3)ニラは2cm幅に切る。むきエビは分量のおろししょうがと酒に漬けておく。

 (4)Aの材料をすべて合わせてミキサ-にかける。

 (5)(4)をボウルに移し、(2)、(3)も入れ、ピザ用チ-ズを合わせる。

 (6)グラタン皿に油をひき、(5)の材料を流し入れ、オリーブオイルをかけてオーブンに入れる。

 (7)中段で15~20分焼き、お好みで糸唐辛子をかける。

 レシピ=小林頼子(東京栄養士薬膳研究会)

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 24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。

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