ファーマシーズ銀座、生薬使用漢方ドリンクが美求める女性に支持
漢方ドリンクをテークアウトできる
野菜と漢方を組み合わせた新しいジャンルの飲料が注目を集めている。東京・銀座にあるドリンクスタンド「ファーマシーズ銀座」では、これまで日常生活と縁遠かった生薬を使った漢方ドリンクを提供。美容や健康に対する意識の高い女性に高い支持を得ている。
ファーマシーズ銀座は、企業の農業参入支援などを手掛ける銀座農園(東京都中央区)が、日本薬科大学と事業提携契約を結び、2017年7月にオープンした。店名は農業の「ファーム」と薬局の「ファーマシー」を掛け合わせた造語で、「自然の薬局」を意味する。
漢方というと一般的に、体には良さそうだが「苦い」とか「敷居が高い」などというネガティブなイメージがある。そこで、高付加価値の野菜やハーブなどと組み合わせることで漢方のハードルを下げ、より身近なドリンクとして提供することを企画。同社の考案したレシピを日本薬科大が監修する形で商品開発を行っている。
メニューには高麗ニンジン、サンザシ、鶏血藤(ケイケットウ)、陳皮、クコの実などのさまざまな生薬を使ったドリンクをラインアップ。
例えば「とにかく元気になりたい」と感じている人には、高麗ニンジン、オレンジ、マンゴー、レモングラスなどを組み合わせた「リフレッシュ」(600円)、むくみをすっきりさせたい人にはサンザシ、トマト、グレープフルーツなどを組み合わせた「エナジー」(500円)と体調に合わせたドリンクを用意している。
平日にはオフィスワーカーも来店。また、店舗周辺にヨガ教室などがあることから、美と健康を気遣う女性に人気がある。銀座という土地柄から、外国人観光客の利用も多い。店内で飲むだけでなく、テークアウトも可能だ。
漢方ドリンクは、旗艦店と位置付ける銀座店での販売のほか、ライセンス供与という新しいビジネスも展開。供与先の老舗文具専門店「伊東屋」では、レモネードに生薬をブレンドしたドリンクを提供している。
このほか、オタネニンジンの栽培で有名な島根県では日本庭園「由志園」内の茶房や、宮城県の薬局併設カフェ「LACIDEM TOKO-TOKO」とライセンス契約を締結。ファーマシーズがレシピの提供や製法指導などを行っている。
現在は、漢方ドリンクをより幅広い層に飲んでもらえるように、低価格帯の商品にチャレンジ。第1弾として、今年2月に高麗ニンジン、コーラなどをブレンドした「漢方コーラ」(290円)を新たに販売した。コーラの中にスパイシーさがほのかに香る味わいで、パソコンによる目の疲れや日頃の疲れを癒やすのにお薦めとしている。
「将来的には体質に合わせたカスタムレベルのサービス提供なども行いたいが、まずは出口をどれだけ作っていくかが最重要課題」(銀座農園流通グループ部長の大場信正氏)。漢方をより身近なものにするためには、原料の生薬から製品販売までのビジネスモデル確立が求められている。
(藤村顕太朗)