胃心伝真=祖父たちの轍

総合 コラム 2017.06.19 11542号 01面

 祖父が他界した。1924年生まれ、92歳の大往生だった。私の故郷・茨城県は今やメロンの一大産地であるが、その礎を築いたのが祖父だった▼鹿島灘に面した地域は風と波が強く、木本正次が鹿島臨海工業地帯開港を描いた『砂の十字架』で活写したように、決して肥沃(ひよく)とはいえない土地。県の農業普及員だった祖父は、千葉大学からわずか十数粒のメロンの種を譲り受け、農家とともに数年かけて育成方法を確立。タカミメロン、ユウカメロンの名付け親となった▼時計の針をさらに戻す。曽祖父は明治時代、通

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