胃心伝真=酔い心地

総合 コラム 2019.01.16 11820号 01面

 地元の新年会で深酒し、元旦早々悪酔いしてしまった。書き怠っていた年賀状のことが気に掛かったが、布団に潜り込み昨秋から読み進めていた野間宏の大作「青年の環」のある件(くだり)に思わず膝を叩いた▼主人公が奈良の零落した酒造家を訪ねて酒を酌み交わし会話する場面。盃を重ねるうちに用件のある主人公が酔うことを案じて遠慮した時に酒造家が返した言葉である  ▼「酔うことなくして、酒を飲もうなどとお考えになるのは、まったくもって許されぬことでございます。」「酒造りの

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