胃心伝真=昭和は遠くに

総合 コラム 2019.04.29 11870号 01面

 「降る雪や明治は遠くなりにけり」。明治から大正を経て昭和へ至った時、明治の良き時代を懐かしんで中村草田男が詠んだ歌だ。昭和42年生まれの私なので、さしずめ「散る桜昭和は遠くなりにけり」といったところか▼中村の詩は昭和6年の作というから、日本が悲惨な戦争へ突き進むきっかけとなった満州事変が起きた年。彼は中国・アモイの出身という。暗たんたる気持ちで、ノスタルジックに明治を振り返ったのだろうか▼昭和には一種のノスタルジーを感じずにはいられない。一方で平成はいまだによそよそしい。時

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら