リンゴ搾りかすでバイオプラ原料 JAアオレンなど6社、新会社を設立

低コスト乾燥するレドックスマスター乾燥機

低コスト乾燥するレドックスマスター乾燥機

 ●リンゴ皮切りに剪定枝も

 【東北】JAアオレン(弘前市)など6社は、リンゴの搾りかすなど植物性残渣(さ)を活用したバイオプラスティック用原料の製造、販売するグレンカル・シナリー社を7月15日に設立した。出資額は2億1000万円。アオレンは年間約1万8000tのリンゴを加工し、約5000tの搾りかすが発生、有効活用について長年試験・研究を行っている。2013年からは、シナリー社の親会社グレンカル・テクノロジー社が開発した乾燥技術・レドックスマスター乾燥機を活用し、搾りかすの低コスト乾燥をアオレンと共同で取り組んできた。

 約6年を経過し、リンゴのみならず多くの植物性残さを低温・低コストで乾燥させる技術を確立し、大型乾燥機「レドックスマスター」1号機を昨年5月アオレン内に導入している。これは高熱を使わず、プラズマ技術による複数種のイオンの働きにより、水分クラスターの水素結合分解。ミスト化した水分クラスターを風で飛ばすことで乾燥させるというもの。出来上がった乾燥材は新会社が買い取り、プラスチック原料のペレットを愛知県の工場で生産、プラスチック製品各メーカーに販売する。

 バイオプラの課題は高コスト。搾りかすプラは石油由来の一般プラと同程度の価格を実現した。運搬用のカゴ、マルチ、レジ袋など用途は幅広く、期待される。リンゴかすでスタートするが、そのほかさまざまな残さ、剪定(せんてい)で出てくる枝なども利用でき、副産物の有効利用のみならず、環境への負荷低減に貢献する。「あおもりプラゴミゼロ宣言」する青森県も画期的取組みと期待している。

 生産者の高齢化、後継者難などによって、加工原料の集荷が厳しくなる中、アオレンは一昨年から加工用リンゴの園地をスタートさせ安定確保に乗り出している。今度の取組みについてアオレンの小笠原康彦専務は「これまでなかなか有効利用が難しかった搾りかすを販売することで利益が生まれ、買い入れ価格を高め生産者に還元できる」と意欲を見せる。(三沢篤)

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