好調続く麦茶市場 通年商材化で伸長 大麦増産の動きも

飲料 ニュース 2019.05.22 11879号 01面

麦茶市場が好調だ。18年のリーフ麦茶販売量は前年比4.1%増、麦茶飲料生産量は24.3%増となり、麦茶全体で需要が押し上げられた。伸長の要因は、夏の定番だったものが、通年商材化されたことが大きい。もともと飲用層が子どもから高齢者まで幅広いのが強みで、カフェインゼロの特徴も支持されている。昨年は夏場の猛暑で熱中症対策需要が増した。ここ数年人気なのが原料産地を限定した商品で、麦茶用大麦の生産拡大が課題になっている。(三井伶子)

麦茶用玄麦の共同購買を行う全国麦茶工業協同組合によると、18年度の麦茶用玄麦販売は9万tと過去最高を記録。全国清涼飲料連合会調べによる麦茶飲料生産量は102万3700klで、9年連続の大幅増となった。

ここ数年、飲料メーカーによる新商品投入が続き、市場が活性化している。サントリー食品インターナショナルは4月、業界初の缶容器入り濃縮タイプ麦茶を発売し話題を呼んだ。一方、リーフ麦茶は徳用の大容量パックが主流で、大手一極集中の構図は変わらない。価格も50パック入りが150円以下で販売され、低価格化が進行している。

大手以外のメーカーは、差別化が図れる付加価値商材に注力。オーガニック製品や、はと麦、ルイボス、ショウガなどをブレンドした健康茶が女性を中心に支持され、市場にとってプラスアルファになっている。

売り先の分散・多様化も進む。大手以外のメーカーはなかなか一般市場に入り込めず、ネットやカタログ販売といった新たな販路を模索している。

ここ数年増えているのが、原料の大麦産地を限定した商品だ。麦茶向け大麦の産地では関東のシェアが高く、長野、岐阜といった新たな産地も出てきている。ただ、大麦はコメや大豆と比べて収益性が低く、需要がある一方で全体的な生産面積は増えていない。また、同じ大麦でも、もち麦の生産にシフトしてきている。

業界は、麦茶向け大麦の栽培を産地へ働きかけている。例えば滋賀県は、1000t程度だった小粒大麦の生産量について、20年産は3500tを予想。滋賀に続く有望産地の開拓が求められている。

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