日本食糧新聞社、『チッピィからの贈りもの』出版 登場する「ローズチキン」商品化を計画

総合 新刊紹介 2022.04.13 12387号 12面

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 海外の原作絵本を翻訳した「チッピィからの贈りもの」=写真=が、日本食糧新聞社から出版された。料理を味と見た目で食している人が多い中、食材の大切さに気付いてもらいたいという作者の思いが詰まった物語だ。今後、絵本に登場するローズヒップを食べて育った「ローズチキン」の商品化を計画。13日開幕の「FABEX東京2022」では、先着400人に絵本を無料プレゼントする。

 絵本は作者であるローザ・ブライアントの遺志を継ぎ、エムズパートナーズの宮武憲行氏が日本での出版を実現した。

 19年5月ごろ、以前に出版した「ミツバチとはちみつ」の写真絵本の実績から、海外での出版がかなわなかった絵本の出版について宮武氏は知人から相談を持ちかけられた。絵本の内容を膨らませることができれば出版の可能性があると判断し、出版社と交渉することを引き受けた。

 まず取り組んだのが、絵本に登場する「ローズチキン」など関連する名称の商標登録だった。20年6月に商標登録後、順調に進むかと思われたプロジェクトだが、新型コロナウイルス感染拡大により一時停止することを決断。しかし、収束の兆しが見えないことから、21年6月にプロジェクトを再始動することにした。

 宮武氏は絵本に登場する「ローズヒップを食べて育ったローズチキン」を実験的に飼育してくれる養鶏所を探し出し、ヒナ40羽を車で届けた。養鶏所ではローズヒップを5%混ぜた餌によって育てたヒナ20羽と、ローズヒップを添加しない餌によって育てたヒナ20羽を50日間飼育。専門機関で鶏肉の肉質検査を行った結果、ローズヒップを添加した鶏肉の方が臭みがなくジューシーで、肉質が優れていることが実証された。

 これらのストーリーと今後の取組みを説明したところ、日本食糧新聞社から絵本を出版することが21年11月に決定した。

 絵本の内容を深く知ってもらおうと、今年4月には絵本の公式サイトを開設。その他の試みとしては、絵本に登場する料理などを現存するレシピノートから実際に再現し、公式サイト内でアップしていく予定だ。「その中から皆さんが実際に食べてみたい料理があれば商品化を考えている」(宮武氏)という。

 公式サイト内にはオンラインショップのページがあるが、まだ商品化と販売はしていない。「ローズチキンを飼育して商品化しても買っていただけるか分からないため、食品ロスになる可能性が高いと思っている。SDGsで言うところの12番目の『つくる責任』だ。そこで、絵本や専用サイトをご覧いただいた皆さまのご意見を聞きながら商品化できれば」(同)と考えている。

 すでに絵本の読者から「絵本に登場するチッピィを食べるんですか?」などの意見が多数寄せられているという。「そう思うことが実は大切なことで、普段、料理を味と見た目で食している方が多いと思うが、食材の大切さに気付いてもらうことが作者の言わんとすることであり、当プロジェクトでも取り組みたい『食育』だ。食材を意識することは、おいしく残さず食べることにつながることを絵本を通じて感じてもらえれば」(同)と力を込める。(三井伶子)

 ▽公式サイト=https://roseken.com/

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