JA北海道中央会定例記者会見 新型コロナ影響大 乳製品、在庫積み増し懸念

総合 ニュース 2020.04.06 12035号 04面
見解を述べる飛田稔章JA北海道中央会会長(中央左)、右隣は内田和幸ホクレン会長

見解を述べる飛田稔章JA北海道中央会会長(中央左)、右隣は内田和幸ホクレン会長

【北海道】JA北海道中央会は3月27日に札幌市内で定例記者会見を行い、飛田稔章会長、内田和幸ホクレン会長が新型コロナウイルスによる農業への影響や牛乳・乳製品の消費拡大運動、農協系統外生乳卸による生乳集荷の一時停止問題などへの見解を述べた。(長島秀雄)

飛田会長は「農畜産物全体として家庭用消費は伸びているが、外食機会の減少、学校給食の停止などで加工用・業務用需要が減少。自粛や景気低迷が続くと、ギフトや嗜好(しこう)品、高級食材などの需要減少で、さまざまな農畜産物に影響が出る」との懸念を示した。

牛乳に関しては「日量1900tとされる学校給食向けの停止で、道内は80tが影響。また、ホテル、観光業、菓子などに使用される生クリームなど業務用の牛乳・乳製品が大きく減少。道外に販売する生乳も減少していることから、見合った数量を道内の乳製品工場に振り向け乳製品製造で生乳処理を図っている。長期化した場合、脱脂粉乳、バターを中心に乳業メーカーでの乳製品在庫の急速な積み増しにつながることが懸念され、国に対して乳製品の流通円滑化対策を求めている」とした。

併せてコープさっぽろと連携し、3月26日~4月1日まで“コープ配食サービス”と“移動販売車おまかせ便カケル”でJAグループ北海道が提供する牛乳を無償配布することなど、牛乳余り解消に向けた取組みの一端を紹介。

さらに「加工用の玉ネギ、ポテトサラダ、コロッケ用のバレイショにも影響が及んでいるほか、一時的に伸びたコメや小麦粉製品の家庭用消費についても需要の先食いの可能性が高い。花卉(かき)も、イベントなどの自粛で消費が減少し、市況が低迷している。全国の花卉生産者応援を目的に、花の消費拡大運動を展開中である」と語った。

内田ホクレン会長は、系統外の生乳卸が道内の一部酪農家からの集荷を停止した問題について言及した。

生乳流通を規制緩和した改正畜産経営安定法の問題点を指摘し「制度改正で最も懸念していたことが発生し、生産現場に混乱をもたらしている。これまでの制度の適正な運用や生産者からの公平性確保、年間を通じた安定取引、契約順守の必要性について周知を図ってきた当会としては、引き続き適切に取り進めていく。この事態を踏まえ、あらためて需給の安定や所得の安定といった改正畜産経営安定法の目的が果たされているのか、現行制度の検証と必要な対応が図られるよう国に求めていきたい」と述べ、現在止まっている4戸の集荷を4月から受託することも明らかにした。

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