新型コロナ:生乳需要、業務用落ち込み 農水省「家庭内で積極消費を」

新型コロナウイルスの感染拡大による社会・経済的影響で、生乳需給へのマイナス影響が懸念されている。4月の緊急事態宣言以降、休業要請を境に業務用生クリームや飲用牛乳の需要が大きく落ち込み、宣言が全国に拡大したことでさらなる減退が予想される。こうした状況を受け、農林水産省は長期保存可能なバターやチーズなどの製造に仕向け変更し需給調整に協力するメーカーを支援するとともに、家庭内での牛乳乳製品の消費を積極的に増やすことで、行き場を失う生乳の発生を防ぎたいとの見解を示した。

新型コロナウイルスの感染拡大により、3月の全国一斉休校で学校給食用牛乳がキャンセルとなった。4月の緊急事態宣言とその全国への拡大で、外食店舗などの臨時休業が多く発生。

インバウンドの減少やイベント・外出の自粛が続く。学校給食用牛乳向け生乳は、長期保存可能なバター、脱脂粉乳などの製造に仕向け変更し対応している。

農林水産省のメーカーへの聞き取り調査によると、業務用需要は3月で2割減、4月で5~7割減と試算される。コーヒーチェーン、ホテル、土産菓子などの需要減少で業務用乳製品の在庫が増加している。

一方、生乳生産は4月下旬~6月中旬にピークを迎える。農林水産省は19億円の予算を協力金として、バターやチーズなどの製造を支援する考えだが、製造能力にも限界があることから、行き場を失う生乳が発生する懸念があるため、堅調な家庭での牛乳やヨーグルトのさらなる消費が生乳廃棄回避の重要な鍵を握る。

水野秀信生産局畜産部牛乳乳製品課長は20日の記者会見で、「家庭用消費は堅調に推移しているが、もう一歩進めてもらえると、業務用の落ち込み分の助けになる」と呼び掛けた。農水省の試算では、18歳未満の子どもが週1回コップ1杯分(200ml)の牛乳を増やすと、学校給食用牛乳1週間分(9500t)の約4割に相当する生乳が消費されるとしている。(小澤弘教)

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