FD食品市場、味噌汁中心に拡大 大手参入でさらに活性化

農産加工 ニュース 2019.08.26 11930号 01面
豊富な品揃えのFD食品売場が増えている

豊富な品揃えのFD食品売場が増えている

フリーズドライ(FD)の味噌汁やスープ類などの成長が続いている。FD成型食品などのFD食品の市場を見ると、13年比で87%増と市場は大きく拡大。そのうちFD味噌汁市場は13年比で約3.7倍と急成長が続く。またFDスープ市場も13年比で45%増と市場の拡大に貢献している。日本凍結乾燥食品工業会の18年度生産量調査においても、成型食品群の合計は前年比7.3%増の5億4238万食と大きく成長。そのうち、味噌汁類は前年比12.8%増の2億6819万食、スープ類は同6.8%増2億3206万食とFD成型食品の伸長をけん引している。(高木義徳)

直近の市場動向を見ると、今年2月からは味の素社が首都圏1都7県および通販サイトで具材をFD加工とし、味噌を顆粒(かりゅう)状とした「具たっぷり味噌汁」を発売。8月からは全国展開を開始している。アサヒグループ食品は新たなシリーズとして「10品目の一杯」を9月から投入。永谷園は「味噌汁庵」を今年から主力ブランドの「あさげ」にリブランディングするなど、FD食品の味噌汁は今後もさらなる成長が期待される。スープ類も各メーカーの新商品投入が続いており、FD成型食品市場は今後も味噌汁類とスープ類を中心に一層の拡大が見込まれる。

FD食品市場が成型食品の味噌汁類やスープ類を中心として急速に拡大する背景には、お湯を加えるだけで手軽に1人前を作れる手軽さや具の再現感やその量の多さ、多種の具材から好きな具材を選べる点などが、高い支持を得ているためと思われる。

さらに国内の食を取り巻く環境は共働き世帯や単独世帯、高齢者の増加により、今後も手軽に個食化を実現できるFD食品のニーズはより高まる見通しだ。実際にスーパーなどの売場でもFD食品を集めた売場が拡大傾向にあるなど、面の展開も着実に広がりつつある。

味の素社の参入や各メーカーの新製品投入により、今後もFD食品は持続した成長が見込まれる。しかし、懸念材料もある。それは味噌汁とスープ類以外へのFD食品の波及だ。これまでは各社の新製品開発により、特にFD成型食品の分野で粥・雑炊類や麺類、デザート類なども成長を続けてきた。しかし日本凍結乾燥食品工業会の18年度生産量調査によると、成長が続いているのは味噌汁類とスープ類、惣菜類の2種に限られる。FD食品は凍らせたまま乾燥するという技術で、さまざまな食品への応用が可能だ。

今後、さらにFD食品が大きな成長を続けるためには、味噌汁類やスープ類以外の新たな柱が必要となることは間違いない。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

書籍紹介