食品産業文化振興会、国分G本社・佐々木氏が講演 卸から見た新しいヘルスケア市場創造

佐々木誠氏

佐々木誠氏

 国分グループ本社の佐々木誠ヘルスケア統括部事業推進課長は10日、東京・八丁堀の食情報館で開かれた日本食糧新聞社主催の食品産業文化振興会で、「健康トレンドをいかに掴み取るか~卸から見た食品の新しいヘルスケア市場創造~」について講演した。今回の例会では、コロナ禍で会合が制限される中、三密を考慮した会場参加とWeb受講の2元体制で開催された。中間流通だからできることとして、「缶詰などの一般食品や機能性食品の特性を生かした機能別売場作りとそれらの持つ力を最大限に引き出すためにメーカーを超えて具体的な『料理レシピ』という形で提案している」と語った。

 講師の佐々木氏は、健康・介護で新しいビジネスモデル構築を目指す部署であるヘルスケア統括部に所属し、食と健康について提案し続けている。

 今年は、新型コロナウイルスが世界的に大流行し、食状況を含めてがらりとすべての環境が変わった特別な一年となっていると前置きをした上で、3月に入り学校の一斉休校要請時には、コメ・パスタ・乾麺・缶詰が買い占められ、一段落後には免疫力向上をイメージする乳酸菌・ヨーグルト・納豆などの商品が品薄状態になった。4月には緊急事態宣言が発令され在宅勤務が進み、食環境はホームメードが高まった。5月には緊急事態宣言が解除されて菓子やアイスクリームなどのし好品が徐々に回復し、直近の6月では東京アラートで感染警戒が叫ばれたが品薄がほぼ解消され免疫力関連食品が引き続き好調となっている。

 佐々木氏は注目する健康トレンドとして(1)免疫力(2)基礎疾患への対応(3)コロナ太り(4)プラントベースフード–と分類。免疫力を病気にならないための予防そのもの、日々の規則正しい生活の積み重ねと定義し、広範囲にわたる提案の集合体という。それは食事を中心として睡眠、体温、ストレス、運動をコントロールすることだとした。そのための機能性食品を含めた食品の売場による提案という訴求により、生活者に食品の持つ力のイメージをはっきりと提案していく必要がある。

 基礎疾患への対応では、減塩しなければと分かっていてもなかなかできないところに踏み込んで、管理栄養士の力を借りて栄養・食事指導を中間流通だからできる「料理レシピ」という形で各メーカーが意図しない組み合わせ・使い方を手軽に時短でできるよう具体的に提案している。

 コロナ太りでは、ステイホームなど働く環境の変化により増えてしまった体重などを戻すため、生活習慣を元に戻しつつ、減った消費エネルギーに見合った食事内容にして、安全で適度な運動を続けることが重要だ。

 プラントベースフードとは植物由来の食品のことで、食肉や魚など動物性由来の原料を使わない体に良く、環境にも配慮した食品で今年のヒット予測にもランクされるほど話題の食品。コスト面や、おいしさ、認知度向上などの課題を抱えるが、低脂肪・食物繊維が豊富・良質なタンパク質などメリットも多く、将来性もあり、今後のテーマとしてはふさわしい食品だとした。(宇津木宏昌)

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