セブン&アイ、コロナ禍で強みの食品磨く 首都圏戦略、グループ連携で推進

小売 ニュース 2020.10.12 12130号 01面
グループの食品戦略を担うヨーク(1号店のヨークフーズちはら台店)

グループの食品戦略を担うヨーク(1号店のヨークフーズちはら台店)

セブン&アイ・ホールディングスは国内グループで約6割の売上げを占める食品分野の強化戦略を推進する。井阪隆一社長は「コロナ禍で強みは食品だと再認識した。その強みを磨き続ける」と8日の中間決算説明会で話した。6月に設立の食品スーパー(SM)のヨークを中心に立地や規模に応じた四つのフォーマットを柱とする首都圏食品強化戦略をグループ連携で進める。(山本仁)

食品強化の背景として、井阪社長は国内の食品市場が08年に約66兆円だったのが18年には約75兆円と10年間で約9兆円も規模が拡大しているほか、家計における食品への支出の増加傾向を指摘した上で、「食には楽しみやコミュニケーション、健康などで意味を持っている」と食品の成長性を見込む。

特に首都圏ではヨークマートから商号変更し6月に設立したヨークを中心に攻略を進める。標準型、価格対応型、都市型、中・小型の四つのフォーマットで柔軟な出店を可能にし、課題とする事業会社ごとの標準型の店づくりで非効率だった出店を改める。グループで連携してインフラを共有化し、ヨークベニマルとの連携を強めるほか、購入客に商品を届けるラストワンマイルなどでセブンイレブンとも将来的に協力する考え。利益の確保もすでにAI(人工知能)を活用した発注で販売機会のロスを削減する効果を挙げているという。グループの共通インフラ活用でもDX(デジタルトランスフォーメーション)による共通システム・データの可視化やセントラルキッチン(集中調理施設)や加工センターで売場の有効活用や作業の効率化を図る考え。

セブン&アイグループの首都圏のスーパーストアの売上合計も19年度5540億円と大手SM企業と肩を並べる規模で、足元の既存店売上げも日本チェーンストア協会の販売統計より上回って推移しているため、井阪社長は「消費者から一定の支持が得られている」と強みを生かす考えを示した。

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