醤油市場、調理増に伸びしろ メニュー提案も進化

人気の鮮度・密封醤油は基準超えの減塩、600ml以上の大容量と革新が続く

人気の鮮度・密封醤油は基準超えの減塩、600ml以上の大容量と革新が続く

 醤油は内食・調理増の対応に伸びしろを残している。家計調査の支出金額は前年比6%増と好調だが、競合するつゆ・たれの伸びに及ばない。コロナ対策などで店頭販促が控えられ、代替するデジタル施策とともに提案レシピが進化。生醤油の浸透機能を伝えるキッコーマン食品の「無敵漬け」など、簡単で安価、パーティー向きの巣ごもり用途を追求できるかが焦点になりそうだ。

 市場は家庭用が増加しても業務用の縮小を補いきれていない。好調な家計支出も9月までつゆ・たれが13.4%増、ほか好調な洋風のケチャップ17%増、ソース13.7%増に遠く、調味料合計7.3%増にも届かない。醤油出荷量は前年比6.3%減となり、販促コストの低い業務・加工減は収益悪化を招いている。

 好材料は一般購入単価の上昇。100ml平均は12年の29円から19年36円まで高まり、今年は9月まで38円で推移している。高価な鮮度維持・密封容器が浸透し、今年はコロナ禍を避ける特売・チラシ減が影響した。定番価格でも堅調に回転し、余ったプロモーション活動はSNS広告やホームページ改良といったデジタル施策へシフト。日々の料理増によるレシピサイトへのアクセス、検索の大幅伸に応えた。

 メニュー提案ではキッコーマン食品の「無敵漬け」が注目され、非加熱の生醤油の機能訴求が新しい。調理時の香り立ちを伝えることが多かったが、残った酵素によって、食材に味が染み込みやすいと訴える。秋冬は「やわらか鶏チャーシュー」として人気の放置・つけ置きレシピを紹介する。ほかにもヤマサ醤油の「焼きもち」CMの投下など食欲、調理を誘う企画が充実。第3波到来などコロナ共存が深まり、年末・年始の家庭内催事の増加、免疫力を求める健康志向、景気悪化、野菜安など新常態の各種ニーズに応じる。=関連記事6~7面(吉岡勇樹)

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