ホロ酔いガイド 季節と酒の仕入れ、業態で違ってくる仕入れ

1992.05.18 4号 19面

5月、6月はどういう酒を売るか。特に季節の楽しさをお酒と酒の肴で楽しんでもらいたいと思っている料飲店やレストランは、この季節に合ったお酒の品揃えを充実させることが必要。それぞれの業態別に例を挙げると。

〇大衆向け一杯飲み屋

ビールはbM生、日本酒は生酒の冷やしたもの(やや良質の生貯蔵酒‐三〇〇㍉㍑・五〇〇㍉㍑)‐やや良質とは酒造好適米の利用割合・精米歩合(六五~七〇%)がポイント。および本醸酒と普通酒・焼酎・旧二級系のウイスキー。これらのうち日本酒の普通酒と焼酎・ウイスキーを重視すれば酒ディスカウンター、品質に納得する回答を求めたいなら、専門の業務用酒販店。bM生をおけばとくにそれが必要になる(それぞれのお店がお酒を雰囲気の添え物として考えるか、お酒そのものを主軸に売るかで仕入先が変わる)。(注)酒ディスカウンターが悪い酒を売っているというわけではない。商品説明の伝達力が低いのと、中級の商品について品質の吟味が必ずしも十分ではないということ。この種の店のお客様は若者一般と中年の一般大衆‐味に余りこだわらない人達。

〇小料理屋・すし屋・天ぷらや・串焼・串揚げ等やレベルが上がった和風系の余り騒がしくない店。酒の味のウエートが高くなる。

ビールはbM生とびん生。日本酒は吟醸酒・特別本醸造酒・本醸造酒の良質品、および本格生酒と良質の生貯蔵酒。日本酒は品質の吟味・品質の管理が重視されることになり、店側では飲ませ方の工夫(燗・冷やす・オンザロック等)が少し必要になる。生酒のためには専用冷蔵ショーケースが必要。焼酎は三〇㍉㍑と五〇〇㍉㍑びん。ウイスキーはオールド・G&Gクラス、それに乙類焼酎の優良品。仕入先は専門性のやや高い業務用酒販店になる。

〇レストラン・ステーキ店・スナック・焼肉屋等洋風系

ビールはbM生とびん生、日本酒は吟醸酒の生酒、ワインは標準小売価格一五〇〇円以上のもの。そのうちハーフボトルが好評。ウイスキー・ブランデー類は旧特級以上と外国もの。ウイスキー・ブランデーについては外国製品は並行もので酒ディスカウンターが安い。業務用酒販店がどこまで対応できるか、配達サービス等を加味してそれぞれを選択する。

〇和風優良料飲店

和風高級店ではなく優良店である。店はたとえぼろでも、店主に品格があり、酒の味と酒の肴のハーモニーを売ろうとする店。この場合は優良品質の日本酒が主体、最低でも他方の優良本醸造酒、上は大吟醸特級品まである。日本酒の品揃えが自店の強力な差別化ポイントとなる。仕入先はれっきとして酒類専門店。これらの商品を揃えようと思ったら、メーカーまたは専門性の高い酒類問屋に問い合わせて店を選ぶ。取引は現金取引が主となり、取りに行かされたり、配達料をとられることもある。

(㈱東京マーケティング社長 宮川東一)

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