海外通信 外食ビジネスの新発想(20)アボカド七変化
「ベーガン・パラダイス」(15ユーロ75セント)アボカドのスライスのボウルに寿司米を詰め、マンゴー、ワカメ、枝豆、キュウリをのせ、醤油を垂らしたポケ・ボウル
「アボ・ガーデン」(13ユーロ25セント)フムスや各種スパイス、エディブルフラワー、クレソンを彩りよくアボカドにのせたもの。ベーグルを添えて
「アボグリーン・ベジマシーン」(15ユーロ50セント)サラダ菜、グリルした野菜、黒キノア、バジル・ペストソース、ピスタチオ、フェタチーズなどを混ぜ、フレンチドレッシングであえたサラダ
「バン・バーガー」(15ユーロ75セント)半分に切ったアボカドを使い、具材を挟んだバーガー。ナチョスを添えて
「シナーアタック」(13ユーロ25セント)
「ベリーワッフル」(7ユーロ50セント)
●舌と目を楽しませるプレゼンテーション インスタグラムで広まり、アメリカにも普及
何かのWebサイトでたまたま見かけた、美しいアボカド料理の数々につられて行き着いたのが、オランダとベルギーに店を展開する「アボカド・ショー」だ。アメリカ人はアボカドが大好きだが、ヨーロッパでもアボカド人気が上昇しているらしい。同店はアボカドの専門料理店。アボカドの好きな人なら天国のようなところだ。なにしろ、バーガーはアボカドのスライスを挟んでいるのではなく、アボカドそのものがパン代わりに使われている。
アボカドは使用範囲が広い。クリーミーであるから、ワカモレなどのディップにしたり、ペーストにしてアイスクリームに仕立てたり、生地に混ぜ込んでケーキなどの焼き菓子にすることもできる。また、クセがない味だから、スイーツにもセイボリー(甘くないもの)にも仕立てられる。一日中食べても、七変化するアボカドに飽きることはない。アボカドは多目的に利用できる、稀有な食材の一つなのだ。
同店のアボカド尽くしの料理は、朝食からデザート、メイン料理に至るまでメニューは幅広い。
評判の「アボ・ガーデン」は、半分に切ったアボカドの上にフムスなど色とりどりの具材をのせ、エディブルフラワーを添えて、美しく仕上げている。同店で出されるものはすべて、まずは目を楽しませなければならない。創始者の一人、ロイ・シンプソンは、「最高の料理は、味とともにプレゼンテーションも最善でなければならない」と言っている。
また同様に人気のポケ(本来は、魚介類の切り身に野菜などを混ぜたハワイの料理であったが、最近は定義が広くなり、具だくさんのサラダ風ボウルものなら何でもポケと呼ぶようになった)も、薄くスライスしたアボカドをボウル代わりにして、中に寿司米を詰めた上、いろいろな具を彩りよく並べて、アーティスティックにプレゼンテーションしている。どちらも、その美しいことといったら、食べるのが惜しくなりそうだ。
普通は、料理を作ってからスタイリングするが、同店はその反対の流れでメニューづくりをする。例えば「丸い皿」「4色を入れる」、あるいは「タワーにする」などという具体的なアイデアを浮かべてから、材料を選び、完璧な味になるまでいろいろな材料を付け足していく。こうして、味だけでなく、プレゼンテーションも完璧にすることを目指しているという。
最近の多くの店同様、同店もクレジットカード決済のみで現金は扱わない。クレジットカードだと、間違いもなく安全で、しかもいろいろなマーケティング分析も同時にできる利点がある。
◆代表メニュー
・ポケ・ボウル(3種)(各15ユーロ75セント)
アボカドのスライスで作ったボウルに寿司米を詰め、具材をのせたもの。「ベーガン・パラダイス」のほか、「サラマンゴ」(サーモン、マンゴー、枝豆、ワカメ)、「サルボカド」(サーモン、ワカメ、枝豆、マサゴ)の2種
・バン・バーガー(15ユーロ75セント)
パンの代わりに半分に切ったアボカドにブラックアンガス牛のハンバーグ、カリッと揚げたベーコン、ルッコラ、トマト、赤玉ネギを挟み、グリルソースを垂らしたもの。チェダーチーズをのせれば50¢増し
・アボ・ガーデン(13ユーロ25セント)
アボカドの上に、フムス、スパイス各種、エディブルフラワー、クレソンをのせたもの
●店舗情報
アボカド・ショー(Avocado Show)
所在地=Danitalpertstraat 61, 1072 XB Amsterdam