コロナ禍の逆境で爆誕 話題の新フード:フレーバー生ガキが新しい

2020.06.01 496号 10面
左は無給餌のマガキの断面。右は山椒粉末を摂取させたマガキで、腸管から内容物が漏出している様子が分かる

左は無給餌のマガキの断面。右は山椒粉末を摂取させたマガキで、腸管から内容物が漏出している様子が分かる

 ●大吟醸、ハバネロ、サンショウ……フレーバー生ガキが新しい

 水生生物を中心としたさまざまなサービスや二枚貝種苗販売を行う徳島県のうみの(株)は、新潟県のFARM8、津南醸造、大阪府の日本粉末薬品と共同で「フレーバーオイスター」を開発した。

 「フレーバーオイスター」とは、生きたまま、いろいろな風味が楽しめるカキのこと。飼育水中に懸濁した非水溶性の微粉末をカキ類が餌料と誤認して摂食してしまう点と、海水から水揚げすると腸管内容物は排出されず保持される、という2つの性質を利用したもの。前記4社は、酒かすや香辛料などの微粉末を生きたカキ類に取り込ませる技術で特許を出願している。

 殻付き生ガキの消費はほとんどが外食産業のオイスターバーやレストラン向けだ。だが、新型コロナ感染拡大の影響により主要業態の需要は激減した。

 うみのの中村智治社長は「国内のカキ業界は大ピンチ。旬があるものなので、それを過ぎると廃棄せざるを得ないところもある。家庭でも楽しめる殻付き生ガキの新しい形を提案し、少しでも消費を増やしたい」と開発の動機を語る。

 生産は、カキ生産者がうみのに生ガキを渡し、同社でフレーバーの粉末餌料をカキに与えるだけ。腸管内に粉末が保持されるので、わずか1日で「フレーバーオイスター」が出来上がる。加工はうみのが行い、販売はカキ生産者が行う。

 「フレーバーオイスター」は、一口目は生ガキの味、二口、三口目は、酒かすを餌料にしたなら大吟醸の香り、ハバネロなら激辛と、エンターテインメント性のある楽しみ方ができる。試作品を試験販売したところ反響は上々。今後、さまざまな風味のカキの生産が期待でき、「一度は味わってみたい新グルメ」として話題を呼びそうだ。

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