アパレルに学ぶ盛り付けのヒント:コロナ禍で苦境の国内工場 布マスクなど生産急増

2020.07.06 497号 13面
マスク作りするエミネントスラックスの従業員

マスク作りするエミネントスラックスの従業員

 コロナ禍の長期化が見込まれています。国内の縫製工場でもアパレルメーカーや小売店からの発注キャンセルや減産要請などが相次ぎ、従来の服作りができず、操業の危機に陥っています。そこで、縫製業の強みを生かし、布マスク生産に着手した工場が急増しました。自治体や介護、保育関連などに寄付する動きも目立っています。

 布マスクは洗って繰り返し使えるため、サステイナビリティー(持続可能性)も高い。マスク不足解消に向けた縫製工場の取り組みは、地元に根差した企業として地域社会に貢献することができました。政府から要請された医療用ガウンの生産も含めて、日本の服作りを見直してもらうきっかけになったのではないかと思います。

 例えば、エミネントスラックス(長崎県松浦市)は、パンツの残布を使ったマスクを生産しています。50年以上にわたり培ってきた裁断や縫製の技術を生かし、通常の仕事もしながら1人1日1枚を目標に、4月後半までに約2000枚を作製しました。生地は、繊維メーカーの協力を得て和紙の素材なども供給してもらいました。地元の介護事業所や障害福祉施設、小・中学校、消防署などにも寄付。その後も継続して生産(累計5000枚超)するなど地域貢献を続けています。また「エミネント」の顧客にも約3000枚を無償提供しました。今後、布マスクを販売するプロジェクトも進行中です。

 (繊研新聞 取締役編集局長 矢野剛)

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