2020年6月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2020.09.07 499号 13面

 ●前年割れ続くが6社好調

 想定されていたが、3月から始まった前年割れの状況は、4月をボトムとして回復傾向にあるものの、6月も4ヵ月連続で前年を割る結果となった。しかしながら、コロナの状況下においても、昨年からの13ヵ月平均を上回る(100%以上)会社が6社ある。この6社、マクドナルド、モスフード、KFC、吉野家と続き、王将フードと山岡家が達成している。中華業態はテークアウトにも強いため、ファストフード並みの堅調さを発揮していることが分かる。

 ●同業態内で企業間格差広がる

 6月の特徴は、同じ業種内でも企業間の格差が広がりつつあることである。

 例えば前述の中華業態を見ると、日高屋65.8%に対して山岡家97.1%と、実に30%以上の開きが見られる。

 ほかにも、ファミレスでは大量閉店が話題となっているジョイフルが意外や堅調で、7&i(デニーズ)50.4%に対してジョイフル82%、定食業態では、コロワイドによる乗っ取り的な買収を仕掛けられている大戸屋70%に対して、丼業態の勝ち組かつや96.4%、夜の時短を求められている居酒屋業態は、創業者が復帰しても苦戦が続く和民30.9%に対してマルシェ59.1%、接待需要が蒸発してしまった高級業態でも、梅の花54.9%に対して木曽路72.3%と、苦戦が続く業態でも企業間格差が広がっていることが分かる。

 当初、夏ごろには終息するといわれていたコロナ禍だが、一向に収まる気配がないばかりか、7月に入ってからはむしろ罹患者が増加している。

 これを受けて各自治体の知事らは、「夜の街」だけでなく居酒屋をはじめ広く飲食店にも夜間の営業時間の短縮を要請し始めている。

 そもそも時短要請以前に、都内や名古屋、大阪の繁華街の飲食店の大半は、ディナー帯の集客に苦戦しており、さらに7月は九州から西日本を中心に豪雨が続いた梅雨の影響も出てくることから、8月以降は本格的な閉店ラッシュが始まるとみられており、生き残れる企業と淘汰される企業が明確になってくるのも、もはや時間の問題であろう。

 ●月次非開示株価も冴えない

 「コロナ太りになっちゃったから、しばらく会えないわ」と言って慌ててライザップに通いだすOLのごとく、コロナ禍の影響で業績が急激に悪化したため月次業績を非開示とした外食企業に関して、開示を継続している企業と株価を比べてみると、非開示企業の株価が冴えないのが一目瞭然と分かる。

 やはり投資家の目は誤魔化せないのだろう。

 いろいろと問題を抱えた会社ではあるものの、ゴーイングコンサーン(継続疑義)が点灯し、上場廃止が迫っているグローバルダイニングでさえ月次業績の開示を継続していることに対し、うかい(3月~非開示)、大庄(4月~)、ハブ(4月~)、APカンパニー(4月~)の経営者は何を考えてるのか聞いてみたいものだ。

 4月と5月を非開示としながら、6月から開示を復活させた謎の動きを見せたWDIしかりである。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら