外食レストラン新聞
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帰ってきた飲食店のための血液型講座

飲食店の数学講座(4)

ドクター・マヒマテック

悪い数字を変えるにはコツがある<3>

飲食店の数学講座(4)悪い数字を変えるにはコツがある<3>

2015/07/06日付 436号13面

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●食材の長期・大量在庫は、経営効率を低下させ、最後は愛顧客を失う!

ある居酒屋を診断して驚いた。倉庫に大量に残る、焼酎ボトルの在庫だ。24本入りケースが35箱、840本もあった。

支配人に「これどうしたの?」と問うと、10ヵ月前に営業マンが来て、50ケース仕入れてくれたら、5ケース無料で提供すると言われ“安くなるゾ!”と喜んで仕入れたというのである。

その後、「爆安、焼酎ボトル祭!」として、ボトルを1500円という破格値で売り出し、10ヵ月で534本を売り切った。話を聞きながら考えた。まだ半分以上残っている。果たして、この仕入れが本当に成功なのか……?

電卓片手に、計算しながら考えてみよう。大手酒類メーカーの甲類焼酎、750ml入りである。

仕入れ値700円×1250本=87万5000円(仕入れ代金)

5ケース無料分を加えて87万5000円÷(1250本+125本)≒636円

つまり、1本700円の焼酎ボトルが、64円も安く仕入れられたことになる。

期間中、売れた焼酎ボトルの粗利益は、

(1375本-840本)×(1500円-636円)=46万2240円

となり、ボトルキープの安さにひかれて客数も増え、つまみや料理も売れたからもうかった……?

結論から言えば、“あんまりもうかっていない”である。

店は、JR総武線○○駅前ビルの3階。店奥の倉庫でも家賃は高い。家賃は1坪月1万5000円。55ケースの在庫は、1.5坪くらいの面積を占める。10ヵ月で22万5000円の家賃が、無駄にかかっている計算になる。

もう一つ、支払金利がある。当店の食材代金支払は、月末締めの翌月末払い。当代金は、銀行から借り入れた運転資金で支払っている。この金には、年4.5%の金利がかかっている。在庫になっている840本×636円にも金利がかかっている。年利を12ヵ月で割ると月0.375%。10ヵ月で3.75%。

(840本×637円)×0.0375≒2万0066円(現在の在庫にかかる金利)

倉庫代に金利を足せば、24万5066円。粗利額の半分が消えた計算になる。

だがそれ以上に怖いのは品質劣化。焼酎は蒸留酒、賞味期限はない。が、やはり仕入れて早や1年が過ぎると心配になる。倉庫内は蒸し暑く、梅雨時は湿度も高い。そんなところに、食材・飲料を長期大量保存するなど、お客さまが知れば客離れを起こすかもしれない。

西洋料理は、ワイン、チーズ、ハム、乾麺など長期貯蔵品が主力だ。しかし、わが国は自然に恵まれ、わが国飲食店の食材のほとんどが生鮮食品だ。

3年前のそば粉でそばを打ったり、3年前の鶏肉(冷凍品でも)で焼き鳥を焼いたりしたら、間違いなく当店をひいきにしている「愛顧客」は離れてゆくに違いない。結論、大量在庫のデメリットを考え、仕入れは、多少高くてもこまめに行うことが肝心なのだ。

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