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フードコンサルティング 上場企業にモノ申す

フードコンサルティング 上場企業にモノ申す(46)

木曽路 メニュー不正表示から1年、影響は長く続く

フードコンサルティング 上場企業にモノ申す(46)木曽路 メニュー不正表示から1年、影響は長く続く

2015/12/07日付 441号07面

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ちょうど1年ほど前になるが、昨年8月に同社がメニュー不正表示を行っていたとのニュースを見たときには「まさか?」と思ったが、「メニュー表示と異なった食材を使用していたことに関するおわびとお知らせ」(2014年8月14日付リリース)を確認して落胆したことを覚えている。

「木曽路」のお店を利用されたことのある読者の方も多いと思うが、和食の中でも高級業態である「しゃぶしゃぶ」と「すきやき」を、サラリーマン家庭でも手の届く価格で提供することで人気を得て業績を伸ばしてきた会社だ。特に今回、産地偽装の対象となった「松阪牛」では、外食企業における取扱量は最大手だっただけに、残念でならない。

食材産地の偽装問題自体は、有名なところでは「船場吉兆」や「イオン」など、毎年のように発生しているが、「木曽路」のように松阪牛をウリにしている和食チェーンが、松阪牛ではない和牛肉を「松阪牛を使用」と表示していたのでは、いくら3店舗だけとはいってもブランドイメージ失墜は免れないであろう。

実際、偽装問題が起きた2015年3月期の決算は、前期(2014年3月期)と比較すると、売上高は457億円→434億円(前期比95%)、経常利益は14億円→2.7億円と、前期比較で2割の水準まで落ち込んでいる。この決算内容について会社側の説明を抜粋すると、

「メニュー不正表示問題に関する情報開示前(2014年4~7月)の既存店売上高前年比は101%と増収基調で推移していました」
 「しかし、情報開示(8/14)後から8月第4週まで客数の減少が続き、既存店前年比は8%程度落ち込みました」
 「その後は、2015年1月まで8%減少のままほぼ横ばいで推移していたが、足元(2015年2~4月)では若干の回復傾向が見られます」
 「木曽路以外の部門については、メニュー不正表示問題による売上高への影響はほとんどありません」
 「2016年3月期の業績予想は、足元の推移を勘案し既存店の売上高前年比100.3%と予想しています」

つまり、「不正表示がなければ落ち込まなかった」「木曽路以外の店は影響ない」「事件から半年ほどたって回復が見えてきた」、だからもう大丈夫とでも言いたげな内容だが、果たしてそうだろうか。

現に、今期に入っても木曽路の既存店売上げは、4月(92.8%)→5月(98.8%)→6月(93.1%)と前期を下回って推移しており、客単価こそ102.3%→103.4%→101.3%と維持できているが、客数の落ち込み(90.6%→95.6%→91.9%)が止まっていないのだ。

アベノミクスが始まって以来、「木曽路」のようなアッパーミドルクラスの外食業態は「プチぜいたく」ブームに乗って久しぶりに活況を呈しており、中でも和食業態は従来からの和食ブームに加えて「インバウンド」と呼ばれる訪日外国人客の増加の恩恵を最も受けている業態にもかかわらずこの結果である。

加えて、「木曽路」には目立ったライバルチェーンは存在しないだけに、今の状態は競合にお客を奪われたのではなく、事件をきっかけとしてリピート客を中心に既存客が離れているのが実態ではないだろうか。

おそらく経営陣は「ほとぼりが冷めれば」とタカをくくっているのだろうが、「松阪牛」という看板メニューにつけた傷は決して浅くないはずだ。名門「吉兆」グループが、いまだ偽装の影響を完全に克服できていないことから見ても、「木曽路」の場合も、今回の事件の影響は細く長く尾を引くのではないだろうか。経営陣にその感覚はないように見えることが心配だが。

フードコンサルティング
外食、ホテル・旅館、小売業向けにメニュー改善や人材育成、販売促進など現場のお手伝いを手掛けるほか、業界動向調査や経営相談などシンクタンクとしても活動。
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