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外食の潮流を読む

外食の潮流を読む(18)

フードフォーラム代表・千葉哲幸

「ベッカーズ」誕生30周年記念の商品が発信するぶれのない存在感

外食の潮流を読む(18)「ベッカーズ」誕生30周年記念の商品が発信するぶれのない存在感

2016/12/05日付 454号12面

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ハンバーガーショップの「ベッカーズ」が、この10月に“ブランド誕生30周年”を迎えて、10月1日から31日までそれを冠としたキャンペーンを行った。ここで展開された「30周年記念商品」に、同社のひたむきさを感じた。

記念商品は、まず「熟成アンガスビーフ『別格』ザ★プレミアムバーガー」1280円(税込み)を限定4000食販売、なくなり次第終了。さらに、「別格」シリーズの3種類、「ザ★ハンバーガー」650円、「ザ★チーズバーガー」690円、「ザ★ツインチーズバーガー」910円(すべて税込み)に使用する通常のミートパティを約30%増量した150gに変更したものを価格はそのまま、7700食限定、なくなり次第終了、というものだ。

今回の記念商品には、ハンバーガーチェーンの中でぶれることなく歩んできた同社のプライドが込められている。「熟成アンガスビーフ『別格』ザ★プレミアムバーガー」はその象徴だ。パティは120gで、オーダーを受けてから焼き上げ、レッドチェダーチーズ、JRとまとランドいわきファーム産トマト(品種はりんか409)、グリルした国産オニオン、無農薬フリルレタスなどの具と一緒に、自家焼成の酒種バンズで挟んでいる。私は新人外食記者であった1982年の当時、「ハンバーガーはカクテルの文化を背景としている」と学び、バンズに挟まれた肉や野菜の交じり合いの状態が、ハンバーガーの完成度を決めることを学んだ。このクオリティーと価格設定は、ハンバーガー市場における同社の戦い方を示している。

ベッカーズは現在、ジェイアール東日本フードビジネスが15店展開しているが(他、R・ベッカーズ2店)、その発祥は86年5月。当時、「ロイヤルホスト」を展開するロイヤル副社長だった井上恵次氏が、ファストフードのチェーン展開を目的にベッカーズを創業した。1号店は東京・西新宿の新宿三井ビルディングの1階であった。このとき、マクドナルドは500店舗を超え、ロッテリア、モスバーガーなども定着。日本のハンバーガーチェーンは多様化と市場獲得戦に入っていた。

井上氏は、柴田書店「月刊食堂」の元編集長で、私の大先輩である。70年代に隆盛したチェーンレストランの理論と仕組みづくりをノウハウとして編集者から実務に挑んだ。私は、井上氏から教えをいただきに何度か訪ねたことがあるが、井上氏は強烈な熱血漢であった。率直に言って怖かった。

このような市場環境の中で、ベッカーズが店舗展開の基軸としたことは「クオリティー」であった。ハンバーガーの実質を評価する顧客をターゲットに、“価値の高いハンバーガー”を磨いていった。今日、店数こそ少ないが、すでに出来上がっていた市場に商品で挑んだ魂が、今日の存在感につながっている。

ちば・てつゆき
柴田書店「月刊食堂」、商業界「飲食店経営」の元編集長。現在、フードサービス・ジャーナリストとして、取材・執筆・セミナー活動を展開。
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