アポなし!新業態チェック(151)「富錦樹台菜香檳」コレド室町テラス店

2020.02.26 493号 11面

 ●台湾料理のヒット店が日本上陸 さまざまな業態を展開する新興企業グループ

 世界各国の飲食店ブランドを国内外で展開するWDIが昨年9月、台湾の富錦樹(フージンツリー)グループと提携し、同グループの台湾料理レストラン「富錦樹台菜香檳(フージンツリー)」を東京・日本橋の商業施設内にオープンした。

 同店は、同グループが2014年、台湾・台北市に開業した新しいスタイルの台湾料理店。“シャンパンと一緒に楽しめる台湾料理”というコンセプトで、新鮮な野菜やフルーツを使用し、油を抑えたヘルシーさを打ち出しながら、酒類に合うしっかりした味付けの料理を提供する。

 看板メニューの「花ニラとピータン 豚挽肉のピリ辛炒め(松花蒼蠅頭)」(1680円)をはじめ、「台湾ビーフン 干し海老、豚肉、7種野菜入り」(1380円)、「豚バラ肉の角煮 ナツメとハイビスカスソース」(2180円)、「カキと揚げパンのニンニクソース」(1880円)など、20種類以上の料理や、「杏仁豆腐」「豆花」「青マンゴー」などのデザートが並ぶグランドメニュー。ランチはなく、代わりに一日限定100食の「富錦樹セット」(1800円)が用意されている。冷菜の盛り合わせに主菜2品、本格的なスープとライスが付いた満足度の高いセットメニューだ。ドリンク類は、酒類各種のほか、中国茶、コーヒー、ソフトドリンクなど。とりわけシャンパンの品揃えは充実している。

 富錦樹グループは、台湾出身のジェイ・ウー氏が12年に台北・富錦街エリアに開業したアパレルのセレクトショップからスタート。今後はWDIと共同で欧米への出店も計画しているという。(価格は税抜き)

 ★けんじの評価 日本に住んだこともある若手起業家が創業

 同店が出店したのは、三井不動産が日本橋エリアで複数展開する都市型の商業施設「COREDO」の一つ「COREDO室町テラス」の2階。昨年9月に開業した同施設の2階フロアには、台湾で話題の書店系チェーンが手掛ける総合小売店「誠品生活」が核テナントとして入居している。そのフロアの一角に位置する「富錦樹台菜香檳」は、テラス席を含めて100席以上の規模を持つモダンな店舗で、ボタニカルアートを取り入れた内装はアジアンなカフェといった雰囲気だ。

 同店を訪れたのは平日、開店時間11時の直後だったが、その後30分ほどの間に続々と来店客が入ってくる。しかも、ほぼすべてが女性だ。正午ごろには客席の半分以上は埋まってしまっただろうか。客単価を考えるとランチタイムだけでかなりの売上げだろう。

 富錦樹グループの創業者であるジェイ・ウー氏は、北米や日本で暮らした経験があるという。グループ創業の際にも複数の日本のファッション企業などと提携したようだ。独自の感性で、富錦街エリアを中心にカフェなどのさまざまな店舗を出店し成功を収めてきた。台湾の「富錦樹台菜香檳」も14年には「世界の観光スポット50選」に、18年には台湾政府が薦める「必ず食べるべきグルメ10選」に選ばれるなど、台湾を代表するレストランの一つとして評価が高い。

 台湾では従来、酒を飲みながら食事をする習慣がなく、飲酒する店と食事をする店は別だったそうなのだが、それを一つの店で楽しめるように変えたことが、大きな成功につながったようだ。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「富錦樹台菜香檳」コレド室町テラス店

 開業=2019年9月27日/所在地=東京都中央区日本橋室町3-2-1 COREDO室町テラス2階

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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