海外通信 外食ビジネスの新発想(33)せたが屋・前島氏の新しい店「マゼテ」
クリーンで明るい店内。席は両面の壁に設置してある。狭いスペースも広く見える
店の奥からステップごとに順番に選択していき、前方で支払い。分かりやすいシステムになっている
●4ステップでマイ混ぜ麺 食べ応えある山盛り
日米ともに有名なラーメン店「せたが屋」の前島司氏が、ニューヨークにオープンした新しいコンセプトの混ぜ麺の店「マゼテ」。開店は今年の2月5日。タイミング悪く、間もなく新型コロナウイルスの感染者数が急増。営業自粛を余儀なくされたが、3週間経たずにニューヨーク州およびニューヨーク市当局は、外食は必要不可欠と判断し、デリバリーとテイクアウトが可能になった。
さて、同店は、自分の味覚に合ったチョイスをすることで、自分だけのマイ混ぜ麺を作ることができる店。
アメリカでよく見掛けるステップ式の選択方法だ。同店では4段階でチョイスしていく。値段は分かりやすく一律10$95¢。
(1)まずは、ベースを決める。麺、雑穀米、ミックス・グリーンの3種類から1種。
(2)次に、ソース(スープではない)を選ぶ。味噌バーベキュー、トマト豆乳、豚骨タンタン、オリジナル醤油の4種類から1種。
(3)タンパク質を選ぶ。ポークチャーシュー、すき焼きビーフ、鶏のつくね、豆腐シチューの4種類から1種。(1種追加ごとに+2$95¢)
(4)トッピングを選ぶ。チリビーンズ、マッシュルームサラダ、カレー卵サラダ、ワサビワカモレ(+1$)、ビーツ卵、エビの天ぷら、スパイシーナッツ、トマトのマリネ、ニンジンのフライ、メンマの10種類から3種。(1種追加ごとに+1$95¢)
ベースは、ダイエットのために炭水化物を控えるアメリカ人が多いことから、ミックス・グリーンも選択肢に入っているが、やはり、ほとんどが麺を選ぶ。ソースの一番人気は、豚骨タンタン、二番人気が味噌バーベキュー、そしてオリジナル醤油、トマト豆乳と続く。興味深いトマト豆乳は、ミックス・グリーンや豆腐シチューと組み合わせれば、ベジタリアンも食べられる。トッピングは、ダントツにチャーシューが人気だが、野菜の種類も多い。
人は皆、味覚が違うし好みの食材も違うが、計3万4560通りの組み合わせが可能なので、自分好みのメニューができること間違いなし。しかも、それぞれの段階での選択がバラエティーに富みながらも、数が多すぎないので迷うこともなくシンプルでフォローしやすい。時に見掛けるが、よく分かない名前のソースがたくさん選択肢に含まれていたりすると、決める側に負担がかかりすぎる。適度な数のクリアな選択肢は、カスタマーフレンドリーだ。しかし、それでも決めかねる客には、お薦めの組み合わせの混ぜ麺が4種類用意されている。
アメリカ人にもおなじみになった日本の国民食ラーメンだが、混ぜ麺もようやく登場。暑い季節でも混ぜ麺は食べやすい。同店はYelp(世界最大級の口コミサイト)などでの評価も高い。
●店舗情報
マゼテ(Mazete)
所在地=666 6th Avenue New York, NY 10010