2020年11月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2021.02.01 504号 05面

 ●第3波で9ヵ月連続減

 11月度は、予想されていた通り冬場に入り再び罹患者が増加したことで「コロナ第3波」が始まってしまい、外食業界も再びダメージを受けることとなった。

 業態別に見ても、昨年を上回ったのは、不況時の優等生ファストフード(3社中3社)、店内換気でウイルス対策は万全だといわれる〈本当か?〉焼肉業態(5社中3社)、テイクアウトも好調な回転寿司(5社中3社)の3業態のみであった。

 一方、昨年を上回るチェーンがなかったのは居酒屋、焼き鳥、ファミレス、カフェ、多業態の5業態、特に居酒屋業態の中でも復活の兆しが見えていた大庄(10月65.5%→11月57.6%)、天狗(10月63.6%→11月56.1%)、チムニー(10月60.7%→11月52.0%)が再び落ち込んでしまった。

 1月号にて21年2月決算、同3月決算の中間期(20年8月、同9月)の決算をベースに、売上高に対する営業損失(赤字)の割合が大きいチェーン上位10社をお伝えしたが、今回は上場外食の株価に注目したい。

 以下に、直近1年間(19年12月末~20年12月末)の株価下落率が大きい上場外食10社のランキングをまとめてみた。やはりというか、上場株に関心のある方なら納得のランキングとなったのではないか。しかも、上位10社とも株価が半値以下となっているのが恐ろしい。

 ちなみに、昨年1年間の日経平均株価は、年初1月6日が2万3204円に対し、大納会の12月30日が2万7444円と、1年間で118.2%の上昇率。コロナの影響が、上場外食企業としての立場まで脅かしつつあるのが分かる。

 個別に見ていくと、堂々の第1位ペッパーフードサービスは、主力業態の「ペッパーランチ」を昨年夏に投資ファンドへ売却以降、同社の名物は創業社長のみとなった感すらある。

 第2位のフレンドリーは、店舗が西日本に集中して首都圏在住の方にはあまりなじみがないチェーンだが、政府系投資ファンドとして存在意義が問われている地域活性化支援機構(REVIC)から、数年前に金融支援を受け「一応」再生したことになっている。ところが、不振業態や不採算店舗の閉鎖などに終始したため、本来の外食チェーンとしての競争力を復活させないまま現在に至り、コロナ禍直撃を受けてしまった。

 第3位のヴィア・ホールディングスは、外食名門すかいらーく創業家メンバーがオーナーだが、「紅とん」など居酒屋業態が主力であり、4位のDDホールディングス、8位のチムニーは1月号で解説した通り、10位の海帆は名古屋の居酒屋チェーン(昭和食堂ほか)で、債務超過により危険信号が点滅している。

 5位の梅の花は、本業不振の中で一昨年に低価格居酒屋チェーンで赤字続きの「さくら水産」を買収し、業績低迷に拍車がかかる事態となっている。この「さくら水産」、実態は債務超過だったとの見方もあり、本業不振の上場外食が買収する会社ではなかった。なぜ買収したのかとM&Aアドバイザーの中では、さまざまな憶測が出ているようだ。

 6位のフジタコーポレーションは、北海道地盤のフランチャイジーで、すでに上場外食のJFLAHD(アスラポートダイニングほか)と資本業務提携を行い経営支援を受けている。

 7位のひらまつは、フレンチイタリアンの有名チェーンだが、業績不振やホテル経営からの撤退に加え、創業者でかつての代表者でもあった平松博利氏の個人会社から訴訟を提起されてしまった。創業者の個人名を冠した会社が、その創業者から訴えられるとは、企業存続を脅かしかねない重大な事態ではないか。当然、ブランドイメージにも傷が付き、その結果が株価の大幅下落となり経営陣に跳ね返ってきている。

 この10社は、果たして無事に来期を迎えることができるのであろうか。注視していきたい。

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