多忙でも読める外食ニュース

2021.03.01 505号 04面

 ●マックの全店売上げ、昨年も過去最高

 日本マクドナルドホールディングスが2020年12月期の通期連結業績を発表。これによると、同期(20年1月1日から12月31日)の直営店舗とフランチャイズ店舗の売上高を合計した全店売上高は対前年比で7.3%増、401億円の増収で5892億円となり、昨年に続き創業以来の最高売上げを達成した。同期の営業利益はプラス11.7%、経常利益はプラス14.3%、当期純利益はプラス19.6%と、すべて増益となっている。

 解説=昨年は多くの外食企業が業績悪化に悩まされたが、テイクアウトやデリバリーに対応できたファストフードなどで売上げを伸ばした企業もある。マクドナルドは主に、アプリによるモバイルオーダーとデリバリーの強化が功を奏した。

 ●外食企業の財政対策、減資や劣後ローン

 長引くコロナ禍の中で、財政的な対応策を発表する外食企業も現れている。チムニーは57億円以上あった資本金を1億円に減資する計画を発表。3月の臨時株主総会を経て実行される予定だ。また、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、永久劣後特約付ローン(劣後ローン)により総額150億円の資金調達を行った。生み出された資金はいずれも、営業時間短縮などの影響で売上げが低下したことにより、不安定になった財政状況を立て直すための原資として活用される。

 解説=劣後ローンとは、借入金でありながら資本として計上できる性質の調達資金だ。その分、金利負担は大きいが、同社が現状はあくまでも短期的な業績悪化であると考えており、強気の姿勢であることを表しているといえるだろう。

 ●心斎橋パルコ13階、飲食フロアが開業

 昨年11月に開業した大阪の商業施設「心斎橋パルコ」の13階に、レストランフロア「御堂筋ダイニング」がオープンした。同フロアには、ミシュランの星付きレストランが展開するビストロやフジオフードシステムのおばんざいなど、新業態を含む10店舗が出店。隣接する大丸百貨店の10階レストランフロアと連動して、ハイグレードな飲食ゾーンを構成する。また同時に、12階には7スクリーンのシネマコンプレックスが開業。この2フロアで新たな客層を取り込む構えだ。

 解説=同施設では、3月に飲酒系テナントも揃えた地下2階の「心斎橋ネオン食堂街」が開業し、全館オープンとなる。しかし、今年に入って大阪でも緊急事態宣言が発せられたため、飲食やシネコンといったテナントの状況は厳しい。

 ●デリバリー専門店、出店の動き広がる

 外食各社では、デリバリー系の専門業態や店舗を立ち上げる動きが広がっている。グルメ杵屋は、大阪の本社1階にデリバリー専門の実験店舗をオープン。同社の複数ブランドのメニューを集約して販売する。また、サガミホールディングス傘下の味の民芸フードサービスでは、東京・練馬に宅配専門店「ごちたく味の民芸」を出店。「味の民芸」ブランドのメニューを中心に、ネットや電話で受けた注文を宅配する。両社とも、将来は他ブランドやオリジナル商品へと幅を広げる考えだ。

 解説=外食の利用を制限された状況で、顧客は仕方なく宅配などに頼っている。しかしポストコロナが訪れたとき、既存メニューに少し手を加えた程度の商品で競争に打ち勝つことができるかどうか。勝負はそれからだろう。

 ●ラーメンと焼肉、コロナ禍で影響に落差

 帝国データバンクによれば、2020年のラーメン店企業の倒産は46件で、前年を10件上回って過去最多を記録したという。しかし東京商工リサーチは、同年の焼肉店企業の倒産が14件であり、前年の21件から大幅に減少して過去10年で最少であったと発表している。ラーメン店はテイクアウトやデリバリー対応が難しく、小型店舗が多いため感染を懸念された可能性もあり、排煙設備による換気能力があり、高い客単価でGoTo事業の恩恵を受けやすかった焼肉店との差が出たようだ。

 解説=昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、外食業界全体としては需要が大きく落ち込んだ。しかし個別の業種分野ではさまざまな理由により業績変化の落差も大きく、次第に明暗が鮮明になりつつあるようだ。

 ●「焼肉ライク」香港1号店出店

 ダイニングイノベーションは香港の外食大手マキシムグループと契約を交わし、一人焼肉の「焼肉LIKE」香港1号店を出店した。同ブランドはすでに、台湾、インドネシア、シンガポールへと海外進出を果たしている。

 ●台湾の一人鍋、専門店が愛知に上陸

 台湾の一人鍋専門店「敝姓鍋(ピーシンコー)」が、愛知・岡崎のイオンモールに初上陸した。同ブランドは台湾と韓国に17店舗を出店。日本では、すでに国内でティー飲料チェーンを手掛けるWHO S TEAが展開する。

 ●プレナスがコメ生産、海外店舗に供給

 持ち帰り弁当店と定食の「やよい軒」を展開するプレナスが、今年から日本国内でコメの生産を開始すると発表。これは海外の店舗に国産のコメを供給するためで、将来はコメの輸出事業も目指すという。同社の海外店舗は現在250店舗以上ある。

 ●ペッパーフード唐揚げ新業態

 ペッパーフードサービスは、東京・墨田区にテイクアウトとデリバリーの新業態「からあげくに」をオープン。こだわりの鶏の唐揚げと豚肉の角煮をメインに、主に弁当のスタイルで提供する。出店の立地は浅草駅と東京スカイツリーの中間あたり。

 ●「ディーン&デルーカ」アマゾンでも販売

 「ディーン&デルーカ」は、これまで自社サイトと楽天市場、アスクルで行っていたオンライン販売に加えて、新しくアマゾンでの販売をスタートした。コロナ禍で実店舗の営業時間が短縮となっている中で、オンライン販売の拡大を目指す。

 ●スタバがプラ製カップとストロー廃止

 「スターバックス コーヒー」では、従来プラスチックのカップで販売していたアイスコーヒーやアイスティーをペーパーカップに切り替え、ストローの代わりに直接口を付けて飲めるリッド(フタ)をして提供する。カップはホットとアイスで兼用。

 ●居酒屋「魚金」豚カツ専門店に

 海鮮系居酒屋の「魚金」で知られる魚金が東京・田町の既存店を業態変更し、ブランド豚の林SPFポークを使用した新業態の豚カツ専門店「ツキウマ」を出店。店名は、特徴である豚の「脂」の字を、部首の「月」と「旨」に分解して名付けた。

 ●「デニーズ」2店でテレワーク対応の実証実験

 セブン&アイ・フードシステムズは、東京の錦糸町と浅草の「デニーズ」店舗で、客席の一部をテレワーク専用スペースとして提供するサービスの実証実験をスタートした。席数を限定し、平日のアイドルタイムにドリンクバー付きの利用料を設定する。

 ●JR高架下に開業、新タイプ商業施設

 ジェイアール東日本都市開発は、JR京葉線の葛西臨海公園駅高架下に小型の複合商業施設「Ff(エフエフ)」を開業した。飲食や食物販、コンビニなどの店舗のほか、北欧のアウトドアブランドのショップが出店。ドライブスルー型のスターバックスコーヒーも隣接する。

 ●モンテローザ都内61店を閉店へ

 モンテローザは、東京都内で展開する同社の店舗337店のうち、61店を閉店すると発表。今年に入って再度発せられた緊急事態宣言による営業時間の短縮に加え、大手企業への支援は行わないという東京都の方針を受けて苦渋の決断をしたと、異例のリリースを配布した。

 編集協力:株式会社EATWORKS(入江直之、岡野恵子)

 http://www.eatworks.com/

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