企業トップinterview:シンポ・安藤紀彦社長 国内シェア8割目指す

2022.01.03 515号 05面
安藤紀彦社長

安藤紀彦社長

 ●総合提案を推進

 国内焼肉店の無煙ロースター導入店舗の7割のシェアを誇るシンポ。2021年9月、安藤紀彦氏が3代目社長に就任した。

 コロナ禍で外食産業が苦境の中でも焼肉は、比較的落ち込みが少なく、回復も早かった。外食の中で焼肉がファミリーから選ばれた理由として、無煙ロースターの換気能力が広く消費者にまで認知されたことがある。居酒屋から焼肉店への業態変更など他業態からの参入も増えた。

 しかし、同社の業績は「コロナ前までには至っていない。コロナ前の8割程度」と安藤社長は語る。特に厳しいのが首都圏だが、一方では北関東が伸びてきているという。新店のオープンが減っている中で、業績向上のために「当社は内装・設備・店舗デザインまでトータルで焼肉の繁盛店づくりのお手伝いをしてきた。長年培ったこのノウハウを生かし、無煙ロースターを販売するだけではなく、トータルでの提案を進めたい」と意欲を語る。

 企業の社会的責任を果たすためSDGsに積極的に取り組む。火力が強く肉が早く焼けるガスを熱源にした無煙ロースターが主流だが、CO2削減のために電気を熱源にした無煙ロースターの開発・改良を進めている。国内の電気の導入率はまだ数%程度だが、この先世界的に電気が主流だ。

 また、環境対策としても注目されている代替肉をおいしく焼くためのロースターも検討中だ。「今は、必要とされていなくても、将来に向けて必要となるかもしれない技術の開発は準備していかなければならない」と安藤社長。

 4年計画で、無煙ロースター国内シェア80%以上を目指す。また、現在のシンポグループの海外売上げの売上構成比の10%の倍増を図るため、コロナ禍で中断していた海外市場への焼く食文化の普及を強化させる。

 ●物心両面の幸福

 シンポは今年創業50周年を迎えた。創業社長の故・山田武司氏は無煙ロースターの開発とともに焼肉業界の確立に尽力した。2代目社長の田中利明氏(現・相談役)は、営業拠点構築とサービスの向上を図り、各支店の独立経営基盤を強化するとともに業界の発展に尽力した。安藤社長は、これまで積み上げてきた実績を踏襲しつつ、「成長して強くなった各支店・部門を一つの力にまとめ上げ、さらなる焼肉業界の発展に尽くしたい。業界の発展が当社の発展でもある」と今後の方針を語る。そのためには、新たに執行役員制度を導入して、営業部各拠点、管理本部、生産本部・技術開発本部のそれぞれの責任者を執行役員にした。「現場の生の声を吸い上げ、できるだけストレートに経営陣に伝わるようにしたい」とその目的を語る。

 創業以来「顧客に奉仕する・社会に貢献する・会社を繁栄させる」が同社の経営理念だ。その経営理念は今後も引き継がれていく。「感謝される販売、感謝されるサービス」を基本に「働く社員そして家族へ物心両面の幸せを継続供給したい」と安藤社長は抱負を述べた。

 ●プロフィル

 シンポ・安藤紀彦社長

 1960年12月22日生まれ。85年7月シンポ入社、2008年9月取締役東京支店長就任。13年9月常務取締役東京支店長。21年9月代表取締役社長就任

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