アイスクリーム特集

乳肉・油脂 2022.03.25

 コロナ禍の巣ごもり消費で高まった新たな需要を背景に伸長してきたアイスクリーム市場は、21年度(21年4月~22年3月)はほぼ前年並みで推移しそうだ。天候要因は一年を通じて消費者の購買動向に大きく影響し、特に上期は前年反動もあって、目まぐるしいアップダウンを経験。一方、下期は話題性の高い新製品やコラボアイテムの活躍があったものの、各カテゴリー上位の定番品は前年度ほどの勢いが続かなかったのが現状だ。市場全体は5200億円の規模を堅持すると予想されるが、喫食シーンは家庭内需要をとらえ、家族でのマルチのシェアはもちろん、在宅時間が増えた中で間食ニーズをとらえるなど、家ナカがまさに主戦場となっている。アイスに求められる価値も変化し、長引くコロナ禍で蓄積したストレスに対する「癒やし」や「気晴らし」を提供するスイーツとしての期待が高まっている。迎える22年度も引き続き話題性や新規性の高いアイテムや取組みを各社用意しており、アイスだからこそできる涼やかな情緒的価値の訴求が、消費拡大の鍵を握っている。(小澤弘教)