新型コロナ:中国地方の入社式、苦渋の選択 延期・規模縮小相次ぐ

総合 ニュース 2020.04.08 12036号 02面
イズミ本社で行われた「辞令交付式」。新入社員の席の一定の間隔があけられた

イズミ本社で行われた「辞令交付式」。新入社員の席の一定の間隔があけられた

【中国】新年度がスタートする1日は、毎年多くの企業で新入社員を迎える入社式が開催されるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で例年とは違った形での入社式を余儀なくされる企業が中国エリアでも多く見られた。

地場流通大手のイズミは毎年実施している入社式を延期し、3月30日に本社や九州、香川などの5店舗をテレビ会議システムでつないで「辞令交付式」を開催した。従来「辞令交付式」は、4泊5日の合宿研修の中で行ってきたが、今年はイズミ本社(広島市東区)をはじめ、「LECT」(広島市西区)、「ゆめタウン廿日市」(広島県廿日市市)、「ゆめタウン久留米」(福岡県久留米市)、「ゆめタウン佐賀」(佐賀市)、「ゆめタウン高松」(香川県高松市)の6会場に分かれて実施され、TV会議システムでつながれた各会場に山西泰明社長の式辞をライブ配信するとともに、各会場で役員による辞令交付、新入社員の決意表明が行われた。

各会場の出入口には「消毒用アルコール製剤」を設置し、参加者には検温の実施とマスク着用を徹底させるとともに新入社員の席も一定の間隔をあけて着席させる対策の下で実施された。山西社長は「常に時代に応じて、私たち自身が変わらなければならない。変化に対応できる人になってほしいし、これからの新しい時代に皆さんが貢献できる人間になるために挑戦し続けていただきたい」とエールを送った。

また、毎年新入社員の家族を招待し、新入社員全員が、家族へのこれまでの感謝の気持ちや新社会人としての決意表明などを家族の前で行うユニークな入社式を行ってきたオタフクソースも、今年は家族の招待は中止し、新入社員と幹部社員だけが出席した簡素化した入社式を行った。佐々木直義社長は「世界はわずか2ヵ月前には考えもよらなかったような大変な状況になっているが、このような中でも入社式を開催できたことをとてもうれしく思うとともに、皆さんにも特別な縁を感じている」とし、「当社では現場力を大切しているので、皆さんには好奇心を持って失敗を恐れず、さまざまなことを経験してほしい」とエールを送った。

このほかでは、食品スーパーのエブリイも入社式を5月末に延期した。新入社員50人は、1日にそれぞれの配属店舗に出勤し、タブレット端末を使って岡崎浩樹社長の講話を聞くなど各部署で「新入社員受け入れイベント」を開催。あじかんは、入社式を開催したものの、恒例の食事会などのイベントは中止し、足利恵一社長の講話と辞令交付のみの簡素化した入社式を開催した。

中国地方では、食品関連企業に限らずほとんどの企業で入社式の中止や延期、規模縮小が相次いだ。中には、新入社員の初出勤日を遅らせる企業や、人の動きを抑える意味で新入社員を自宅待機させる企業などもあった。(浜岡謙治)

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