胃心伝真=初がつお
「目には青葉 山ほととぎす 初がつお」‐‐初がつおは初夏を代表する風物だ。南の海から黒潮に乗ってやってくるかつおの群れが琉球列島を本土に向かって北上する▼秋風が立つ頃にはかつおは向きを変え、遥か東方海上を南の海へと戻っていく。黒潮が海の恵みを運んできてくれたお陰でかつおを中心とした水産加工業が盛んになり、漁業が栄えた▼初がつおを何よりも喜んで食べたのは江戸っ子だったという。旧暦の5月ごろになると鎌倉の沿岸あたりまでかつおの群れは北上する。ここで獲れたかつおは一日がかりで江戸ま