レジ袋有料化、マイバッグ移行速やかに 辞退率が客単価影響も

小売 ニュース 2020.09.30 12125号 04面
SMでは混乱もなくマイバッグへの移行が進んだ=写真は京王ストア仙川駅ビル店

SMでは混乱もなくマイバッグへの移行が進んだ=写真は京王ストア仙川駅ビル店

 7月のレジ袋有料化を受け、マイバッグを持参する買い物スタイルは消費者の間に一気に浸透した。レジ袋の辞退率は、食品スーパー(SM)では7月からスタートした企業でも70~80%台、コンビニエンスストア(CVS)も70%台後半と高い。顧客の協力を得て混乱もなく移行したが、有料化の前後で変わったこともある。マイバッグやゴミ袋といった新しい生活必需品のカテゴリーが創出された一方、CVSやドラッグストア(DgS)のようにカウンターレジを採用している業態では、わずかとはいえ1人の顧客をさばくスピードは低下を余儀なくされている。(宮川耕平)

 SMは、以前からマイバッグ持参運動に取り組んでいたチェーンが多く、レジ袋の辞退者には割引を適用するといった取組みも広がっていた。加えて袋詰めはもともとセルフサービスのため、会計処理とサッカー台は分離しており、有料化に伴うレジ作業の変更はほとんどなかった。

 レジ袋からマイバッグへの切り替えはスムーズに進み、ベルクのように法律が規定する基準をクリアして有料化を見送った場合でも、辞退率は30%台から60%近くに上昇している。

 一方、CVSはカウンターレジで会計と袋詰めを行う。以前は店員が詰めていたが、マイバッグを持参する顧客は自分で袋詰めをする場合も多い。会計時にレジ袋の有無を確認する作業が加わり、顧客が袋詰めをする場合には余分な時間も発生しがちだ。顧客が最初からマイバッグを用意するなどの準備を整えないと短縮は難しい。中にはサッカー台を設置する店もあるが、可能な店舗は限られる。

 日本フランチャイズチェーン協会が5月に公表したガイドラインでは、辞退率の目標を2030年度までに60%以上としていた。各社は7月から70%台の数値となり、8月も同じ水準を維持している。

 顧客の理解を得てこその高い辞退率だが、オフィスビル内の店舗では、手で持ち帰れるだけの購入に抑える傾向も見られるという。全体ではコロナ禍で買上点数は高止まりしているものの、レジ業務の効率化を進めることはSM以上に求められそうだ。

 すでにファミリーマートはセルフレジの導入店を広げており、ミニストップはセミセルフとしても使えるレジを標準化、セブンーイレブン・ジャパンも下期からセミセルフ対応レジの導入を本格化している。ローソンは顧客のスマホでセルフスキャンと決済が可能な「スマホレジ」を広げつつある。問題解消の決定打とするには克服すべき課題もそれぞれにあるが、レジ業務を効率化するための模索は続けられている。

 DgSチェーンの多くは現時点でレジ袋の辞退率を明らかにしていないが、ツルハホールディングスは有料化後の辞退率が20%程度にとどまるという。単価の低いレジ袋が販売点数に加わったことで、8月は一品単価が前年比1.7%減、買上点数は同6.1%増になった。コロナ禍で買い物行動が変化している中ではあるが、レジ袋の影響も2~3%程度としている。

 ただ、ウエルシアホールディングスは6月に有料化してすぐに77%の辞退率となり、8月は82%とSMと比べても高い。DgSはチェーンによって立地特性も商品構成も違いが大きく、2社の例を見ても全体像は不明だ。

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