72候を楽しむ漢方スローライフ(120)雷乃声を発す

2020.03.01 296号 08面
オレンジ入りジャスミンティー

オレンジ入りジャスミンティー

 恵みの雨呼ぶ春の雷鳴(春分末候 3月30日~4月3日頃)

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 遠くの空で、春を告げる雷が鳴り始める頃。この時期の雷は春雷と呼ばれ、恵みの雨を呼ぶ兆しとして喜ばれたそうです。また、雷の光には稲を実らせる力があるとも考えられていたのだとか。轟く雷鳴も空を走る稲妻も、昔の人にとっては大切な自然からのサインだったのですね。

 ●季節の変わり目は「疲れ」に注意

 なんだか疲れる、気分が憂うつ……。そんなすっきりしない不調に悩んでいる人はいませんか? 春は季節の変わり目で、環境の変化も多い時期。こうした変化に心身がついていけないと、自律神経が乱れ、疲れやすい、やる気が出ないといった不調が起こりやすくなります。

 漢方では、春の疲れを乗り切るためには「肝」のケアが大切と考えます。肝は体内の「気(エネルギー)」「血」の巡りを整え、ストレスをコントロールする臓器。この働きが弱くなるとストレスにうまく対応できず、精神疲労が起こりやすくなります。また、肝の不調は「胃腸」にも影響するため、食欲不振や消化不良を招き、身体も疲れやすくなってしまうのです。

 ●肝と胃腸を整える

 春の疲労対策は、肝の働きを整えて気血をスムーズに巡らせることが基本。肝はストレスのダメージに弱いため、日常のストレスを溜めないよう心がけて。アロマやハーブティーなど香りの効果で気持ちをリラックスさせるのもおすすめです。

 疲労の回復には胃腸のケアも欠かせません。日々の食事でしっかり栄養を取り、心身のストレスに負けない十分な体力を養いましょう。

 食材は、気の巡りを整えるミント、ジャスミン、カモミール、ラベンダー、胃腸の働きを良くするオレンジ、りんご、しそなどがおすすめです。

 ◆ハレの日薬膳レシピ:オレンジ入りジャスミンティー

 ミントやジャスミンの香りでリラックス、気の巡りを整えます。オレンジは胃腸の働きを良くします

 エネルギー54kcal/たんぱく質0.4g/塩0g(1人分)

 <材料・2人分>

 ・オレンジ……1個

 ・りんご……1/4個

 ・はちみつ……大さじ1

 ・ミントの葉(生)……7枝(うち2枝は飾り用)

 ・ジャスミン茶(ティーバッグ)……1袋(5g)

 ・熱湯……350ml

 <作り方>

 (1)オレンジは皮ごとよく洗い、半分は果汁を絞る。

 (2)残り半分のオレンジは、5mm厚さの半月切りにする。飾り用に2つ残し、さらに半分に切る。りんごは皮付きのまま、いちょう切りにする。

 (3)飾り用を取り分けた(2)と(1)の果汁、はちみつをポットに入れて混ぜ、なじませる。

 (4)小鍋に湯を沸かしてティーバッグを入れ、フタをして2分蒸らす。

 (5)(3)にミントを加え(4)を注いで、しばらくおいて味をなじませる。

 (6)カップに注ぎ入れ、飾り用のオレンジとりんご、ミントを飾る。

 レシピ=名取陽子(東京栄養士薬膳研究会)

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 24節気72候は、古代中国で始まった暦が日本でも取り入れられ、風土気候に合わせ明治まで使われていました。日々の中に少しずつ感じられる季節の移ろいを、楽しみましょう。

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