新型コロナ影響:冷食業界 家庭用で特需 惣菜堅調、給食は大打撃

新型コロナウイルスの感染拡大と政府の緊急的な対策を受け、冷食業界は明暗が分かれる需要の急変に直面している。打撃が大きいのが学校給食で、全国で多くの小中学校などが2日から臨時休校に踏み切ったため、受注・出荷のキャンセルが続出している。その一方で家庭用冷食は巣ごもり消費の特需が発生。スーパーやドラッグストア、生協宅配ルートで子ども用の昼食メニューなどが売れ、ここ数日で追加発注が相次いでいる。

スーパー惣菜売場は焼き鳥やコロッケなどバラ売り商材の販売不調から、パック・袋入り商材への切り替えが進んでおり、メーカーも対応を迫られている。外食からのシフトにより来店客は徐々に増えているもようで、3月内の堅調な販売を予想する声もある。

業務用冷食メーカーは一様に危機感をあらわにしている。学校給食は3日ひなまつりを祝う行事食の中止も痛手となっている。学校以外にも、テレワーク拡大の影響もあり事業所給食で需要は弱含んでいる。

また外食業態は中国政府が海外団体旅行を禁じたことで、すでに2月上旬からホテル・宴会場やレジャー施設向けの需要が急減。国内在庫がだぶつく状況が続いている。さらに外出・外食を控える消費者行動が追い打ちし、悪影響は居酒屋など広範な業態に及んでいる。

業務用冷食を手掛ける主要メーカーは一様に、年度末となる3月の需要急減に頭を抱えている。「期末の販売積み上げ時期だけに、通期業績の計画に大打撃だ」との声が各社から上がっている。中国現地での生産も、大半の工場で発生前の従業員規模まで戻っていない状況で、サプライチェーンへの影響懸念もいまだくすぶる。長期在庫が可能な冷食だが、終息が遠のけばさらなる苦境も現実味を帯びる。(本宮康博)

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