新型コロナ:緊急事態宣言、49日ぶり全面解除 食品業界、感染拡大予防が最重要

総合 ニュース 2020.05.27 12056号 01面

政府は25日、新型コロナウイルス特措法に基づき発令していた緊急事態宣言を北海道と首都圏1都3県で正式に解除した。全面解除は49日ぶりで、食品流通は営業自粛していた大型商業施設や百貨店などが各地で再開へ動き出すなど明るい兆しもみられる。一方で感染リスクの予防へ警戒を続けることは最重要課題ともいえ、製配販3層は各業界の団体が策定したガイドラインなどに沿って慎重な事業活動へ努めるスタンスが不可欠な局面だ。(篠田博一)

●営業再開など明るい兆しも

1ヵ月半以上に及んだ緊急事態宣言下、外食産業の未曽有の不振が取り沙汰されたが、小売業界も明暗を分けた。外出自粛による内食需要の増大でSM3団体の4月既存店売上高は、前年比10.7%増と上げ幅を拡大。このうち食品は同12.5%増と大幅な伸びを示した。

一方で休業が相次いだ大型商業施設(ショッピングセンター)の同月売上高は協会発表で7割弱の記録的な売上げ減となり、百貨店も同月53%減と65年の統計開始以来、最悪の結果となった。

好調を続けてきたCVSも4月は過去最大の苦戦を強いられ、日本フランチャイズチェーン協会の発表した7社計の既存店売上高は同10.6%減と低迷。特に企業のテレワーク拡大などで都市部に展開するCVSの苦戦が著しく、取引卸の4月売上高にも大きな影響を及ぼした。緊急事態宣言の全面解除でショッピングモールなど休業店舗が再開へ動き出し、オフィス街へ人の動きが戻るなど、CVSの不振も少しずつ回復してくる見通しだ。

今後の焦点は感染拡大予防へ最大限警戒しながら、いかに企業活動を継続するかになりそうだ。食品および流通業界は5月4日の専門家会議の提言などに基づき、各団体・協会が14日に業種ごとの感染拡大予防ガイドラインを策定。店舗や物流センター、工場などにおける三密の回避や従業員の健康管理に関する具体指針を定めており、企業個々の対策と併せて業務の推進へ努めていく。

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