大阪冬の味 きょうは十日戎(とおかえびす) 黒門市場は”フグ一色”

1996.01.10 4号 20面

「商売繁盛で笹もってこい」‐‐きょう正月10日、大阪の今宮戎神社では「十日戎(とおかえびす)」のお祭りで大にぎわいだ。酔いざましに散歩がてら福笹を抱え東へ約四キロメートル、関西の天下の台所、黒門市場に足を向ければ、あるわあるわのフグの行列だ。今宮で福徳円満を願い、黒門でふく(関西では濁らないで呼ぶ)を丸ごと一匹と洒落てみたい。

ひれを切り落とし、皮を剥ぎ目の前でさばいてもらう。上身はテッサ、テッチリに、骨付きは焼きふぐ、あま皮は湯引きに、白子は焼いて食べれば美味。ところでフグの毒のテトロドトキシンは青酸カリの一三倍も強い猛毒だが、使い方次第では神経痛、ぜんそく、百日咳、破傷風などに適応する妙薬なのだから面白い。面白いといえば、この黒門市場に関東鍋の代表格のあんこうが鎮座していることだ。「あんこうは鍋へ入れたで人がちり」の川柳があるくらい、関西人は納豆とともに毛嫌いしていた。ヘルシーグルメ時代、食の東西交流ここにもありか。(空)

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