シリアル市場、600億円回復か 内食化で健康意識が加速

菓子 ニュース 2021.03.22 12203号 01面

 2020年のシリアル市場は急拡大を遂げた。KSP-POSデータの2020年2月以降の前年同月比の金額増減率(表)を見ても、10月の7%増以外は2桁増となった。グラノーラブームが安定した17年以降市場全体の出荷金額は、日本スナック・シリアルフーズ協会が公表しているデータによると、17年6%減、18年2.4%減と2年連続で市場が縮小し、19年は台風19号による一時的な需要増などもあり0.2%増と微増で着地した。20年の出荷金額は、大幅伸長し、16年の601億円を超える可能性が高い。

 20年に市場が成長した要因としては、コロナ禍による在宅傾向の高まりを背景に内食化が加速したことに加え、健康に対する意識が高まったことから、簡便で保存性が高くおいしさと栄養バランスの良さが再度評価されたことが上げられる。ただ、19年12月に放映された漫才コンテストが契機となり、コーンフレークが注目されたことで、新規ユーザー獲得に加え、離反ユーザーの再獲得にも成功するなど、シリアル市場再成長の複数の芽生えがあった。さらにコーンフレークは、メーカー各社が包装形態を箱からスタンドパウチに進化させ利便性を向上したことで、成長基調に転じていた。

 21年は、コロナ禍による需要増による前年実績を追うことになる。毎月前年の2桁増を維持することは難しいが、新しくシリアルを試した人や一時シリアルをやめていたが、再度、食べ始めた人について一定数に継続して食べてもらうことができれば、前年比減ではあるが「異常値」だった20年の前年の19年を上回り、市場のベースは向上することになる。あるメーカーの担当者は「20年に新規顧客としてシリアル市場にエントリーした人の離脱率が当初想定よりも低い」ことを明らかにしている。こうしたことの背景にはメーカー各社の品質改良の努力がある。あるメーカートップは「シリアルの進化スピードは速く、数年前の商品と現在の商品では味が格段に向上している」と語る。つまり、再エントリー層にとって「記憶している味」と「食べた味」の良い意味での違いがリピートにつながるということだ。

 メーカー各社は、さらなる新規顧客の獲得とトライアルからリピーターになってもらうために、21年春の新商品、プロモーションを展開する。=関連記事8~9面(青柳英明)

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