アサヒグループ、乳酸菌で女性の憂うつ緩和 独自研究で新発見

総合 ニュース 2021.12.08 12334号 05面

 ●生活の質改善へ

 アサヒグループは、乳酸菌の一種「ラクトバチルス・ガセリCP2305株」の摂取が女性の月経前の憂うつな気分や不安感を改善することを明らかにした。アサヒグループが長年研究してきたパラプロバイオティクス(加熱処理を施した乳酸菌)に関する新発見であり、女性の生活の質改善に貢献できる成果として今後のさらなる研究が期待される。

 今回の研究は徳島大学と共同で実施。20~35歳の健常な女子学生75人の2グループを対象に、加熱殺菌した同株を含むタブレットと含まないタブレットをそれぞれ月経6周期にわたり摂取して、精神症状について周期ごとに評価した。女性の約9割が経験しているといわれる月経前症状の憂うつな気分や、いらだち、無気力、集中力の欠如、疲れやすさ、過食、不眠といった主な症状の改善効果があることを確認した。

 同研究はアサヒの中長期的な発展に向けた基礎研究を行うアサヒクオリティーアンドイノベーションズを中心にグループ内連携で推進してきた。中でも酵母や乳酸菌などの優れた機能性素材から新たなビジネスの創出を目指すのが同社のコアテクノロジー研究所。グループが保有する多様な乳酸菌の中でも、特に幅広い食品への活用が容易なパラプロバイオティクスの研究に取り組んでいる。同株は社内のライブラリーから選抜した乳酸菌で、睡眠や整腸といったニーズに対応することで知られていた。

 11月26日に会見した同研究所第三部の菅原智詞氏は同株の働きを説明し、「女性のメンタルヘルス研究を推進していくことで、すべての人の精神的健康の増進への貢献できる可能性がある」と今後に期待を示した。

 アサヒグループの乳酸菌研究はほかにも、免疫領域に対応するラクトバチルス・アシドフィルスL-92株、筋肉の活動量改善など高齢化社会での健康ニーズに応えるラクトバチルス・カルバタスCP2998株、体脂肪低減ニーズに応えるラクトバチルス・アミロボラスCP1563株など多岐にわたる。

 現時点では今回の成果について具体的な商品化の計画はないが、引き続き乳酸菌の研究を推進し、社会に求められる新しい機能価値の提供につなげていく考えだ。(丸山正和)

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